全力で働きたいのに、体が動かない。
周りの目が突き刺さる。「なんであいつだけ休んでるんだ」――そんな空気が、見えない壁みたいにこちらを囲んでくる。
あの感覚、わかりますか?
私は一般雇用で心身を壊して退職しました。障害者手帳を取得し、「配慮のある環境で働きたい」と思って就労移行支援の存在を知りました。
藁にもすがる思いで飛び込んだ就労移行支援。でも、最初に選んだ事業所が大ハズレでした。
見学のときは親切だったのに、入所してから条件が後出しで出てきた。有資格者はいましたが、いるだけ。結局、退所を選ぶことになりました。
それでも諦めずに転職エージェントも活用し、何十社も落ちながら、最終的に希望年収で複数の内定をもらうことができたんです。
ただし、その内定は正社員ではなく契約社員です。障害者雇用の正社員求人は、現実的にとても少ない。エージェントから紹介されるのも契約社員や嘱託社員が中心でした。ここを隠して「メリットだらけですよ」と書くつもりはありません。少ない中でも戦略次第で道はある。契約社員から正社員登用を目指すルートもある。今の私はそこにいます。
この記事では、就労移行支援のメリットを経験者の立場から本音で解説します。
ただし、ただメリットを並べるだけの記事ではありません。「そのメリットを最大限に活かすには、どうすればいいのか」――事業所選びで失敗した私だからこそ書ける「活かし方」と、正直なデメリットまで全部お話しします。
先に結論だけ言っておきます。
就労移行支援のメリットは本物です。ただし、そのメリットを受け取れるかどうかは、事業所選びでほぼ決まります。
- 就労移行支援を利用する8つのメリットと、それぞれの「活かし方」
- あまり書かれない6つのデメリットと、私が実際にとった対策
- 「メリットを受け取れる事業所」を見抜く5つのチェックポイント
- 見学でそのまま使える質問(私が聞かずに失敗した「求人の入手経路」を含む)
- 公的データで確認できた事業所ごとの実績差と、就職率の正しい読み方
- 転職エージェント併用という選択肢と、併用できない事業所があるという現実
記事内の比較表へ移動します
先に結論だけ知りたい方へ。
私がメリットを受け取り損ねた原因は、見学の場で確認しなかったことでした。
あのとき聞いておくべきだったことを、10個の質問テンプレートにまとめたのが次の記事です。

就労移行支援とは?制度の基本をサクッと理解しよう
メリットの話に入る前に、制度をざっくり押さえておきましょう。ここを知らないまま見学に行くと、事業所の説明を鵜呑みにするしかなくなります。
就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。障害や難病のある方が一般企業への就職を目指して、必要なスキルや知識を身につけるための「通所型の訓練」を受けられる制度です。
イメージとしては、「就職のための学校」が一番近いです。決まった時間に事業所へ通って、ビジネスマナーやPCスキル、コミュニケーションの取り方を訓練する。就職活動のサポートも受けられる。しかも多くの方が無料で利用できます。

就職のための学校か!なんか良さそうじゃん。通うだけで就職できるってこと?



その考えが一番危ないんです。”通うだけ”で就職できた人、私は見たことありません。自分から動かないと、2年なんてあっという間に過ぎますよ。
就労移行支援の対象者と利用条件
就労移行支援を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。
- 年齢:18歳以上65歳未満
- 対象:身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病のある方
- 条件:一般企業への就職を希望していること
- 利用期間:原則2年以内
意外と知られていないのが、障害者手帳がなくても利用できるケースがあるということです。医師の診断書や意見書があれば、自治体の判断で利用が認められる場合があります。「手帳がないから無理だ」と諦める前に、お住まいの自治体の障害福祉課に相談してみてください。
制度の全体像と「2年」の使い方は、【2年は短い】就労移行支援とは?利用期間を無駄にしないための完全ガイドに、通所開始から就職までのスケジュール例つきで整理してあります。
似た名前の制度に「就労継続支援A型・B型」がありますが、目的がまったく違います。
| 項目 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 一般企業への就職を目指す訓練 | 雇用契約を結んで働く | 自分のペースで作業する |
| 雇用契約 | なし | あり | なし |
| 賃金・工賃 | なし | 最低賃金以上(平均賃金 月額約86,752円/令和5年度) | 平均工賃 月額24,141円(令和6年度) |
| 利用期間 | 原則2年 | 制限なし | 制限なし |
就労移行支援は「就職するための訓練」なので、工賃や給与は発生しません。その代わり、一般企業への就職を目的として設計されたサービスです。「まず就職して、配慮を受けながら働きたい」という方には、制度としては一番の近道になります。
ただし、ここが一番大事なところです。「制度として近道」であることと、「あなたが通う事業所が近道になる」ことは、まったく別の話です。その差がどれくらいあるのかは、記事の後半で公的データを見ながらお話しします。
利用料金はいくら?私が毎月9,300円払っていた理由
就労移行支援の利用料金は、世帯の収入状況によって自己負担の上限額が決まっています。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 自己負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
実際のところ、約9割の利用者が自己負担なし(0円)で通っています。ここでいう「世帯」は、18歳以上なら本人と配偶者だけ。親の収入は含まれません。ここを勘違いして「うちの家は課税されてるから無理だ」と諦めてしまう人がいるので、覚えておいてください。
ただし私の場合は、毎月9,300円の自己負担がありました。理由は単純で、利用料の区分は「前年の市町村民税」で決まるから。退職してすぐに通い始めたので、前年に働いていた分の住民税が課税されていて「一般1」に区分されたわけです。
収入のない状態が続けば翌年度は非課税世帯に切り替わり、0円になるケースが多いです。「最初の1年だけ負担が出るかもしれない」と見込んでおくと、家計の計画が立てやすくなります。判定は自治体の障害福祉窓口で確認できます。
そしてもう一つ、見落としがちなのが交通費と昼食代です。通所日数が多いほど、これがボディブローのように効いてきます。事業所によっては交通費の助成や昼食提供がある場合もあるので、見学時に必ず確認しておきましょう。
就労移行支援を利用する8つのメリット
ここからが本題です。就労移行支援を利用するメリットを8つ、経験者の視点から解説していきます。
先に全体像をお見せしますね。
- ①生活リズムが整い、働ける体が戻ってくる
- ②自分の障害特性・強み・弱みを客観的に整理できる
- ③就職に必要なスキルを無料で習得できる
- ④メンタル面のサポートが受けられる
- ⑤就職活動を手厚くサポートしてもらえる
- ⑥就職後の定着支援で「辞めない」を目指せる
- ⑦コミュニケーションを実践的に練習できる
- ⑧同じ境遇の仲間と出会える
それでは一つずつ、「そのメリットをどう活かすか」とセットで見ていきましょう。
①生活リズムが整い、働ける体が戻ってくる
最初のメリットは、崩れた生活リズムを立て直せることです。
休職や退職を経験した方の多くは、生活リズムが大きく乱れています。朝起きられない、夜眠れない、食事の時間がバラバラ――心当たり、ありませんか?
私がそうでした。退職してから、気づけば昼夜逆転。カーテンを閉め切った部屋で、スマホの画面だけが光っている。時計を見るのが怖くなる。あの頃の自分は「働ける体」とはとても言えない状態でした。
通い始めると、決まった時間に起きて事業所に向かう生活が始まります。最初は週2〜3日からでOKという事業所も多く、体調に合わせて少しずつ通所日数を増やしていけます。
これ、地味に見えて実はめちゃくちゃ大きいんです。なぜなら、「週5日通所できた」という実績そのものが、就職活動で強力なアピール材料になるから。企業側からすれば「この人は毎日安定して出勤できる」という判断材料になります。履歴書には書けない、でも面接で効くポイントです。
通所率を自分で記録しておくこと。「◯月から週◯日、◯ヶ月間、欠席◯日」と数字で言えると、面接での説得力がまるで違います。事業所が出してくれる場合もありますが、自分の手元にも残しておくと安心です。
②自分の障害特性・強み・弱みを客観的に整理できる
大きなメリットの一つが、専門スタッフと一緒に自分自身を整理できることです。
「自分の障害特性はわかっているつもり」――そう思っていませんか?正直、私もそうでした。でも、一人で考えている「自己理解」と、第三者と一緒に整理する「自己理解」は別物なんです。
事業所では、訓練プログラムや面談を通じて「どんな作業が得意で、何が苦手か」「どんな環境でストレスを感じやすいか」「必要な配慮は何か」を、記録として積み上げていきます。
これが就職活動で効いてきます。面接で「どんな配慮が必要ですか?」と聞かれたときに、具体的に答えられるかどうか。ここで差がつくんです。
「なんとなく疲れやすいです」と答えるのと、「午後に集中力が下がる傾向があるため、1時間に1回5分の休憩をいただけると安定して力を出せます」と答えるのとでは、企業側の受け取り方がまるで違います。配慮事項は「お願い」ではなく「私はこう使えば戦力になります」という提案にできる。ここに気づけたのは大きかったです。



たしかに、自分の障害特性を「配慮事項」として具体的に言語化するのは、一人だと難しそうです…。



そうなんです。自分の中では分かっているつもりでも、企業に伝わる言葉になっていないと意味がないんです。ここを一緒に整理してくれるのは、就労移行支援の強みですよ。
③就職に必要なスキルを無料で習得できる
ビジネスマナーからPCスキル、事業所によっては専門的なITスキルまで、就職に必要なスキルを自己負担なしで学べます。
基本の訓練内容は、ビジネスマナー(挨拶、身だしなみ、電話対応など)、PC操作(Word、Excel、PowerPoint)、ビジネスメールの書き方、報連相の実践などです。
さらに、事業所によってはかなり専門的な分野が学べます。AIやデータサイエンスといった先端IT分野を扱うNeuro Diveのような事業所もあれば、在宅訓練に対応しながらITスキルを習得できるmanabyのような事業所もあります。
民間のスクールなら数十万円かかる内容を、自己負担なしで学べる。これは正直、使わないともったいないです。
ただし、ここには落とし穴があります。事業所によって学べる内容はまったく違います。「プログラミングが学べると思って入ったのに、実際はPCの基本操作までだった」というズレは珍しくありません。自分が学びたい内容がカリキュラムに入っているか、見学時に必ず確認してください。
もう一つ、私の考えを正直に書いておきます。技術職を目指すなら、「教えてくれるか」より「わからないときに聞ける体制があるか」を見たほうがいい。事業所に丸投げしてスキルが身につくことはありません。聞ける環境があったうえで、自分から取り組む。この両方がそろって初めて武器になります。
④メンタル面のサポートが受けられる
就労移行支援は、スキルだけでなく「働き続けるための土台」を作れる場所でもあります。
多くの事業所では、認知行動療法をベースにしたプログラム、アサーショントレーニング、ストレスマネジメント、アンガーマネジメントなどが用意されています。障害特性ごとにコースが分かれているatGPジョブトレのような事業所もあります。
何に効くかというと、「前の職場で壊れた原因」と向き合う力がつくんです。一般雇用で心身を壊した経験があると、「次の職場でも同じことが起きたらどうしよう」という恐怖が残ります。その恐怖に対して、具体的な対処法を持てるようになる。独学では、なかなかここまでいけません。
それと、事業所という環境自体が「失敗しても大丈夫な場所」として設計されています。安心して自分と向き合える時間があること。これは一般雇用で傷ついた状態には、思っている以上に効きます。
⑤就職活動を手厚くサポートしてもらえる
履歴書の添削から面接練習、企業への面接同行まで、就職活動を伴走してもらえます。
障害者雇用の就職活動は、一般の就活とは勝手が違います。「障害特性の伝え方」「配慮事項の書き方」「オープン就労とクローズ就労の判断」など、独特のノウハウが要る。ここを一人で手探りするのは、正直しんどいです。
事業所のスタッフは障害者雇用の選考に慣れているので、「この職種ならあなたの強みが活きる」「この配慮事項はこう書いたほうが伝わる」と具体的にアドバイスをくれます。企業への情報提供や面接同行をしてくれる事業所もあります。面接の場に支援員が同席して、障害特性や配慮事項を補足してくれる。一人で行くのとは安心感が違いますよね。
ただし、このメリットには大きな前提条件があります。
その事業所が、どの求人を使わせてくれるか。
私が入所した事業所は、就職活動で使える求人がハローワークのみでした。転職エージェントや他社の求人は使えない。この制限は、入所前に一切説明されていませんでした。
どれだけ面接練習が手厚くても、応募できる求人の幅が狭ければ結果は変わりません。ここはデメリットの章で詳しくお話しします。見学で必ず聞いてください。「就職活動で使える求人はどこの求人ですか?」と。
⑥就職後の定着支援で「辞めない」を目指せる
就労移行支援の本当の価値は、就職した「後」にあります。
ここは制度が二段構えになっているので、正確に書いておきます。就職後6ヶ月までは、利用していた就労移行支援事業所がフォローアップを担当します。その後は「就労定着支援」という別サービスに切り替わり、最長3年間支援を受けられる仕組みです。合わせて3年6ヶ月。職場訪問や定期的な面談を通じて、仕事上の悩み相談、企業との橋渡し、環境調整のアドバイスを受けられます。
なぜこの制度があるのか。数字を見るとよくわかります。
障害者職業総合センターの調査によると、障害のある方の職場定着率は就職後3ヶ月時点で90.3%、1年時点で76.0%。裏を返せば、4人に1人は1年以内に職場を離れているということです。
就職がゴールじゃないんです。「配慮を受けながら働き続けられる場所」を見つけるのがゴールです。新しい環境に慣れるまでの時期に、企業とあなたの間に入ってくれる第三者がいる。これは本当に心強い。



へー!就職した後もサポートしてくれるんだ。就職したら終わりだと思ってた。



むしろ就職してからが本番です。新しい環境に慣れるまでが一番しんどい時期ですから、その時に頼れる人がいるかどうかは大きいですよ。
⑦コミュニケーションを実践的に練習できる
職場で必要になるやりとりを、「失敗しても大丈夫な場所」で練習できます。
グループワーク、ディスカッション、プレゼンテーション、ロールプレイ。こうした訓練を通じて、報連相のタイミング、上司への相談の切り出し方、同僚との距離感を試せます。
ポイントは「失敗しても評価に響かない」こと。実際の職場で報連相を外したら評価に直結しますが、事業所なら失敗を材料にできる。ここは、対人面に苦手意識がある場合には特に大きい価値だと思います。
⑧同じ境遇の仲間と出会える
同じような状況で就職を目指している人が周りにいる。これは精神的な支えとして想像以上に大きいです。
一人で転職活動をしていると、孤独なんです。不採用通知を開くのはいつも一人。誰にも相談できない。「自分だけがこんなに苦しいのか」と思ってしまう。
事業所に行けば、同じように体調と向き合いながら就職を目指している人がいます。進捗を報告し合ったり、面接の情報を共有したり。「あの人が就職できたなら、自分もいけるかもしれない」と思える瞬間があります。
ただし、正直に言うと人間関係のトラブルがゼロとは限りません。私自身、最初の事業所では人間関係でも躓きました。合わない人がいるのは、社会と同じです。距離を取る、スタッフに相談する、通所時間帯を変えてもらう。使える手はあります。「合わない人がいたら自分が悪い」とだけは思わないでください。
知っておくべき就労移行支援のデメリット6つ【正直に話します】
メリットだけを並べて「さあ利用しましょう」と言うのは不誠実です。
就労移行支援にはデメリットもあります。ここでは正直に、そしてそれぞれの対策とセットでお伝えします。事前に知っておけば手が打てるものばかりです。
①通所中は原則収入がない
最大のデメリットは、通所中に収入が得られないことです。
就労移行支援は「就職のための訓練」なので、就労継続支援のような工賃は発生しません。しかも、多くの事業所では通所中のアルバイトを原則禁止としています。
これがネックで利用を諦める方も少なくありません。毎月の生活費、家賃、光熱費。収入がない中でこれを賄い続けるのは、現実的に厳しいですよね。
- 自治体によってはアルバイトの許可が出る場合があります。私の場合、運よく自治体から許可が出たため、アルバイトをしながら通所していました。ただし許可する自治体は少ないと聞きますし、両立は正直かなり疲れます。シフトの数と時間の調整は必須でした
- 自治体の障害福祉課に相談しましょう。ケアマネージャーから、グループホームや生活保護を一時的に利用して通所期間を乗り切る案を教えてもらったこともあります。金銭面の不安は一人で抱えず、窓口に出してみてください
- 交通費・昼食代も計算に入れておく。通所日数が多いほど効いてきます。お金のことで機会を逃すのはもったいないですが、計画なしに通い始めると長期の通所が苦しくなります
アルバイトの許可条件やお金の回し方は、【経験者が語る】就労移行支援中にアルバイトはできる?許可条件とお金の現実に、私が自治体とやりとりした流れも含めてまとめてあります。
②利用期間は最大2年という制限がある
利用期間は原則2年。この「2年」は、長いようで短いです。
最初の数ヶ月は体調を整える期間。そこからスキル訓練。就職活動を始められるのは通所から半年〜1年後というケースも珍しくありません。実際、就労移行支援を経て就職した人の平均利用月数は15.9ヶ月です(平成29年度・n=2,023事業所/厚生労働省「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について」p.16)。1年半弱が平均、と考えると、余白はそれほど多くありません。
そして、ここが一番伝えたいところです。
最初の事業所選びで失敗すると、この2年のリミットが一気に迫ってきます。
私が身をもって経験しました。最初の事業所が合わなくて退所を決意。でも退所の手続き、新しい事業所探し、入所手続きで1〜2ヶ月かかる。次の事業所では「最低でも3ヶ月は通ってほしい」「前の事業所の利用期間はうちでは引き継げない」と言われました。
利用期間の残り日数を数えて、スマホを持つ手が震えました。
結果として、私は泣く泣く就労移行支援の利用を諦め、転職エージェントに切り替えました。最初の事業所で使った時間が、本当に悔やまれます。
ちなみに「2年を超えたら延長すればいい」と考えている方へ。同じ資料(p.16)では、利用者36,607人のうち2年以下が93.5%、2年超3年未満が5.9%、3年超は0.5%。延長を使えている人は1割にも届きません。延長はあくまで例外だと思っておいたほうが、計画は安全です。
通所から就職までのリアルな流れは、【平均15.9ヶ月】就労移行支援の期間と就職までのリアルな流れで月単位のモデルケースにしてあります。
だからこそ声を大にして言いたい。事業所選びは慎重にやってください。最初の選択が、2年間の全部を左右します。
③事業所によって支援の質に大きな差がある
これが最も深刻なデメリットかもしれません。事業所によって、支援の中身にはとんでもない差があります。
データを見てください。少し古い資料ですが、厚生労働省の資料では一般就労への移行率が0%――つまり1年間で一人も就職に結びつけられなかった事業所が約3割強。その一方で、移行率20%以上の事業所が約4割とされています。事業所数は全国で約3,300ヶ所です。
同じ「就労移行支援」の看板を掲げていても、中身は別物なんです。ここまで書いてきたメリットは、それを提供してくれる事業所を選べた場合にだけ手に入ります。
私の失敗談を聞いてください。
最初に選んだ事業所は、相談のときは本当に親切でした。こちらの要望にも「もちろん対応します」と言ってくれた。決め手になったのは、「短期利用であることを伝えたうえで、快く迎えてくれたこと」でした。歓迎された安心感で、私は肝心の条件確認を飛ばしてしまったんです。
入所してから出てきたのは、こんな話でした。
- 「個別にプログラムを組みます」と説明されたが、実際に個別プログラムが組まれることはなかった(※カリキュラムを強制されることもなかったので、正確には「強制された」ではなく「個別に組まれなかった」)
- 就職活動で使える求人はハローワークのみ。この制限は入所前に一切説明がなかった
- 系列の転職エージェントの求人を使えるのは「通所3ヶ月以上の人のみ」。しかも応募にはスタッフの推薦が必要だと、後から知った
- 入所前に伝えていた希望年収について、入所後に「難しい」と言われ、希望より50万円以上低い求人を勧められた
- 事業所のブログにある「利用者の声」は、スタッフの監修を通ったものだった
- 専門の有資格者はいた。でも「いるだけ」。特別なケアがあるわけではなかった
減っていく日数と、狭くなっていく転職の入り口。焦りで余裕がなくなって、私はだんだん怒りっぽくなっていきました。関係が悪くなると、通所そのものが苦しくなる。悪循環でした。
誤解しないでほしいのですが、これは「その事業所が悪だった」という話ではありません。大半の事業所は真っ当に運営されています。私が言いたいのは「入所前に確認しなかった私の失敗」です。条件は、入る前にしか聞けません。
「大手だから安心」「有資格者がいるから安心」――あの頃の自分に一番言ってやりたい言葉です。その思い込みが、全部の遠回りの入口でした。
④訓練内容と期待にギャップが生まれることがある
「思っていたのと違った」――これは就労移行支援あるあるです。
ホームページの情報や見学時の説明で「ここなら大丈夫」と思っても、通い始めると細かいところでズレが出てきます。訓練のレベルが合わない、やりたいプログラムが実際にはあまり開催されていない、など。
これを防ぐには、見学だけでなく「体験通所」を使うことです。1回の見学では、事業所側も”よそ行きの顔”を見せます。体験で数日通ってみると、普段の空気と実際の訓練内容が見えてきます。体験ができること自体が、事業所を選ぶうえでの利点になります。
⑤すぐに就職活動を開始できるわけではない
「早く就職したい」という焦りがある方には、ここがもどかしく感じるはずです。
通い始めても、最初は生活リズムの改善や体調の安定が優先されます。いきなり求人に応募して面接、という流れにはなりません。
これには意味があります。土台が不安定なまま就職しても、また同じことが起きかねない。焦る気持ちは痛いほどわかりますが、この助走期間が、結果的に長く働き続けるための近道になることもあるんです。
ただし、私のように就職したい時期が先に決まっている場合は話が変わります。持ち時間と助走期間が噛み合わないなら、転職エージェントを先に使うという選択肢も現実的です。どちらを選ぶかは、あなたの事情次第でいい。
⑥途中で事業所を変えるのは想像以上に大変
「合わなかったら変えればいい」――そう軽く考えていませんか?事業所の変更は、想像以上に時間とエネルギーを消耗します。
まず退所の手続き。私の場合、引き留められることはありませんでした。ネットでよく見る「しつこく引き留められる」とは逆です。それまで話しかけてくれていたスタッフから、退所の話をした途端に声がかからなくなった。いないものとして扱われた感覚だけが残りました。
手続きの説明でも、誤った情報を伝えられました。言われたとおりに障害福祉課へ行ったら、「それはしなくてもいいですよ」と担当者に気の毒そうな顔をされた。あの表情は、今でも忘れられません。
そして、ここが制度上の落とし穴です。
前の事業所で使った日数は差し引かれます。でも、前の事業所で積み上げた通所期間は、新しい事業所ではリセットされます。
減るものは引き継がれて、積み上がったものは引き継がれない。私はここで詰みました。次の事業所では「最低でも3ヶ月は通ってほしい」「転職活動は入所してから3ヶ月以降であってほしい」と言われました。理由は「スタッフが利用者の人間性を知るうえでも必要な期間だから」。言われてみれば、事業所側にも事情があるのは理解できます。
さらに、前の事業所で揉めた経緯が先に伝わっていて、受け入れにはかなり慎重な対応をされました。面談を3〜4回重ねてもOKは出ず、時間だけが流れていく。それでも利用者の持ち時間は、待ってくれません。
だからこそ何度でも言います。最初の事業所選びが、全部です。
就労移行支援のメリットを最大限活かすための事業所の選び方
ここまで読んでくださった方は、もう気づいていると思います。就労移行支援のメリットは本物です。でも、そのメリットを受け取れるかどうかは事業所選び次第。
事業所選びで失敗した私が、「あの時これを知っていれば」と本気で思っている判断材料をお渡しします。使うか使わないかは、あなたが決めてください。
見学は最低3ヶ所。比較しないと「良い」も「悪い」もわからない
事業所の見学は、最低3ヶ所は回ってみてください。
なぜ3ヶ所なのか。1ヶ所だけだと、そこが「良い」のか「悪い」のか判断する物差しがないからです。2ヶ所でもまだ足りない。3ヶ所回って初めて、「あの事業所のあの対応は良かったんだ」「ここは説明が曖昧だな」という比較の目が持てます。
コツは、同じ質問リストを持って全部の事業所を回ること。質問を統一しておけば、回答の質を横並びで比べられます。
- 直近1年の就職者は、何名中何名ですか?
- 就職された方の雇用形態の内訳(正社員・契約社員・パート)はどのくらいですか?
- 就職後6ヶ月・1年時点の定着率はどのくらいですか?
- 就職活動で使える求人は、どこの求人ですか?(ハローワークのみ/系列エージェント/一般の求人サイト)
- その求人を使うのに、通所期間やスタッフの推薦などの条件はありますか?
- 転職エージェントとの併用は可能ですか?
- 在宅訓練には対応していますか?
- 「個別にプログラムを組む」とは、具体的に何がどう個別になりますか?
太字にした3つが、私が聞かずに痛い目を見た質問です。求人の「入り口」が事業所の裁量に左右されることがある。「使える求人があるか」だけでなく、「使うのに条件が要るか」まで踏み込んで聞いてください。
「家から近いから」「ホームページがきれいだから」だけで決めるのは、できればやめてほしい。私がそれで失敗した人間です。ただし通所時間も無視はできません。片道1時間を超える事業所は、内容が良くても続けるのが難しいというのが私の実感です。距離は毎日効いてきます。



事業所って見学とか面倒くさいし、家から近いとこでよくね?



…それで合わなくて辞めたら、また振り出しだよ?利用期間の2年は有限なんだから。
ここから先は、私が「あのとき知っていれば」と思ったことです。
見学の場でそのまま使えるように、質問のかたちにしてあります。スマホのメモに貼っても、印刷して持っていっても構いません。
選び方のチェックポイント7つと、要注意事業所の5つのNGサインも同じ記事にまとめてあります。


就職率の数字だけで決めない。確認すべき5つのチェックポイント
事業所が出す就職率は、そのまま鵜呑みにしないほうがいいです。
理由は2つあります。1つは、就職率の計算方法に統一ルールがないこと。「就職率80%」と書いてあっても、分母に何を置いているかで数字はいくらでも変わります。
もう1つは、公表される「就職」にはパート・アルバイトも含まれること。正社員での就職に限ると、割合はかなり下がります。ここは障害者雇用の現実として、知っておいて損はありません。
- ①就職率の定義を聞く:「何人中何人が就職したか」の分母と分子を確認する
- ②雇用形態の内訳:就職者のうち正社員・契約社員・パートがそれぞれ何人かを聞く
- ③定着率:就職後6ヶ月・1年時点で何人が働き続けているかを確認する
- ④就職先の業種・職種:どんな企業に就職しているかの実績を見る
- ⑤直近1年の実績:古い実績ではなく、直近のデータで確認する
これらに具体的な数字で即答できる事業所は、それだけで信頼材料になります。逆に「多くの方が就職されています」としか言わない事業所は、数字を持っていないか、出したくないかのどちらかです。移行率0%の事業所が約3割強ある以上、ここは遠慮せず聞いてください。
そしてもう一つ。その数字は「事業所の平均」であって「あなたの結果の保証」ではありません。数字は事業所を絞り込むための道具であって、答えそのものではないんです。
スタッフとの相性は「見学時の対応」だけで判断しない
見学時のスタッフの対応は”営業モード”だと思っておいてください。
これは私の失敗から学んだことです。見学時はどの事業所も親切で、笑顔で、こちらの要望に「できます」「対応します」と答えてくれます。でも、入所してからの日常が同じとは限らない。
だから、体験通所を使って通常モードの空気を見ること。1日だけの体験ではわからないことも、数日通えば見えてきます。
見るのはスタッフだけではありません。在籍している利用者の表情と空気感も観察してください。利用者がリラックスしているか、スタッフとの会話が自然か。事業所の本当の空気は、利用者の顔に出ます。
私は最終的に、事業所選びは「目的 × 相性」だと考えるようになりました。目的(何を身につけて、どこへ就職したいか)が合っていても、相性(スタッフ・雰囲気・通いやすさ)が悪ければ続かない。逆に相性がよくても、目的がズレていれば時間を失う。数字だけでも、直感だけでもダメなんです。
ちなみに私は、見学の最後の面談に同席したもう一人のスタッフの雰囲気が苦手だった、というだけの理由で見送った事業所もあります。理屈になっていないと思いますか?でも、毎日通う場所です。その直感は、けっこう当たります。
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「じゃあ具体的にどんな事業所があるの?」という方のために、特徴の異なる事業所をまとめました。学びたい内容や通所スタイルで、自分に合いそうなところを比べてみてください。
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どこが「正解」かは人によって違います。大切なのは、複数の事業所を見学・体験して、自分の目で確かめること。ホームページの情報だけで決めず、足を運んでみてください。合いそうなところがあれば、資料請求や見学の申し込みから始めれば十分です。
就労移行支援に向いている人・向いていない人
「メリットはわかった。でも、自分に向いているのかな?」
そう思った方のために、向いている人・向いていない人の特徴を整理します。自分がどちらに近いか、照らし合わせてみてください。
向いている人の特徴5つ
- ①一般就労を目指しているが、今すぐフルタイムは不安な人:体調を整えながら段階的に準備を進められます
- ②就職活動のやり方がわからない人:障害者雇用特有のノウハウを持つスタッフの伴走が効きます
- ③未経験の分野にチャレンジしたい人:IT、事務、デザインなどを自己負担なしで学べる環境は貴重です
- ④ブランクがあり生活リズムの立て直しから始めたい人:通所そのものが訓練になります
- ⑤対人面に苦手意識がある人:失敗しても評価に響かない場所で練習できます
向いていない人の特徴3つ(代替案も提示)
向いていないからダメだ、という話ではありません。別の道があるという話です。
| 特徴 | 理由 | 代替案 |
|---|---|---|
| 体調が不安定で通所自体が難しい | まず治療と体調の安定が先 | 主治医と相談。自立訓練(生活訓練)から始める道もある |
| 就職したい時期が決まっている・すぐ収入が要る | 訓練期間が前提のサービスで、即就職にはならない | 転職エージェントの利用を検討する |
| 通所中の生活費を確保できない | 収入ゼロの期間を越えられない | 自治体の支援制度の活用、ケアマネや障害福祉課に相談 |
1つ目の「生活の土台から整えたい」というケースについては、自立訓練と就労移行支援どっちを選ぶ?違い・併用・判断基準を徹底解説で、両者の違いと併用パターンを整理しています。
大切なのは、「就労移行支援だけが道じゃない」ということ。私自身、最終的には事業所の利用を諦めて別の道を選びました。選択肢を知ったうえで、どれを選ぶかはあなたが決めていいんです。
就労移行支援だけじゃない|転職エージェントという選択肢
ここで、あまり書かれていない視点をお話しします。
就労移行支援と転職エージェントは、「どちらか」ではなく「両方」という組み合わせもあり得ます。ただし、ここには先に確認すべきことがあります。
事業所とエージェント、それぞれが持っているもの
就労移行支援は「訓練」と「自己理解」のプロ。転職エージェントは「求人」と「条件交渉」のプロです。持っているものが違います。
事業所は日々の訓練を通してあなたの特性を把握してくれますが、求人情報の量には限りがあります。一方、障害者雇用専門の転職エージェントは非公開求人を含めた求人を持っていて、年収交渉や条件調整もしてくれます。
つまり、事業所で「働ける自分」を作り、エージェントで「働く場所」を探す。この組み合わせが成立する環境なら、選択肢はかなり広がります。
私自身は、事業所の利用を諦めた後にエージェント3社を使いました。1社に偏らなかったのは、エージェントごとに持っている求人が違うのと、担当者との相性があるからです。こちらの希望を通そうと尽力してくれましたし、質問にも丁寧に答えてくれました。エージェントに切り替えてからは、ルートが明確で話が早かったというのが正直な感想です。
ただし、いいことばかりではありません。書類で落とされ、手応えのあった面接でも不採用が続きました。何十社も落ちています。障害者雇用の選考は、障害特性の理解・配慮・自分の対処法など、かなり個人的で繊細な部分まで踏み込まれます。面談の回数も決して少なくない。ここは覚悟しておいたほうがいいです。
それでも続けた結果、複数の内定をもらうことができました。年収も希望どおりです。
各社の比較と、私がどう使い分けたかは【ぶっちゃけ比較】障害者向け転職エージェントおすすめ3社と失敗談に書いています。



就労移行支援と転職エージェント、両方使ってもいいんですね。どちらかを選ばないといけないと思っていました。



使えるなら両方でいいんです。ただし併用を禁止している事業所もあるので、そこは入所前に必ず確認してください。私は確認せずに入って、後から知りました。
障害者雇用でも年収は諦めなくていい(ただし雇用形態は現実的に)
「障害者雇用=年収が低い」――これは、半分本当で半分違います。
たしかに平均年収は一般雇用より低い傾向にあります。でも、それはあくまで「平均」の話。求人を見比べていると、キャリアを積んでジョブチェンジしていけば年収300万、500万、700万と上げていける道は確かにあります。私自身、エージェント3社を比較して使った結果、希望年収を通すことができました。
ただし、繰り返します。私の内定は契約社員でした。障害者雇用の正社員求人は現実的に極めて少なく、エージェントから紹介されるのも契約社員や嘱託社員が中心です。ここを「頑張れば正社員になれます」と書くのは、誠実じゃない。
それでも、少ない中でも戦略次第で道はあります。契約社員から正社員登用というルートもある。私は今、真面目に働く姿勢を評価してもらって契約を更新し、そのルートの途中にいます。勤務形態も、かなり在宅に近いハイブリッド型です。
大事なのは、最初の就職先を「ゴール」ではなく「スタート」と捉えること。そして、そのスタートラインに立つための準備が、就労移行支援と転職エージェントの役割なんです。
選択肢を広げる|障害者雇用に強い転職エージェント
エージェントは、話を聞いてみるだけでも「今の自分にどんな求人があるのか」がわかります。登録=応募ではないので、情報収集のつもりで使ってみるのも一つの手です。
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使うなら、1社だけでなく複数を比べるのがおすすめです。担当者との相性もありますし、持っている求人も違います。合わなければ担当者の変更を申し出て構いません。エージェントもビジネスです。対等な立場で、自分にとって有利な条件を通していきましょう。
※事業所に通いながら使う場合は、前述のとおり併用の可否を先に確認してください。
就労移行支援の利用開始までの流れ【5ステップ】
「利用してみよう」と思ったら、具体的にどう動くか。5つのステップで整理します。
情報収集・事業所をリストアップする
「就労移行支援事業所 ◯◯市」で検索し、通える範囲の事業所を洗い出します。訓練内容、就職実績、通所スタイル(在宅対応の有無など)をざっと確認。この段階で3〜5ヶ所ピックアップしておくと、あとで比べやすくなります。自治体の障害福祉課に相談すると、ネットに出てこない地元密着型の事業所や支援団体を教えてもらえることもあります。これは意外と知られていない、かなり有効な手です。
見学・体験通所に行く(最低3ヶ所)
リストアップした事業所に連絡して、見学・体験通所を申し込みます。先ほどの質問リストを持参して、同じ基準で比べましょう。体験通所はできれば数日利用して、日常の空気を確認してください。聞いた回答はその場でメモを取る。後から思い出そうとしても、印象は上書きされます。
事業所を決めて利用申請する
比較検討の結果、通いたい事業所が決まったら、お住まいの市区町村の障害福祉課(障害支援課)に利用申請を行います。申請には医師の意見書や障害者手帳(または診断書)が必要です。
受給者証を取得する
自治体の審査を経て「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。これがあれば正式に利用開始です。交付までの期間は自治体によって異なりますが、通常2週間〜1ヶ月程度みておくと安心です。
利用開始・個別支援計画の作成
受給者証が届いたら、事業所と利用契約を結んで通所がスタート。最初にスタッフと一緒に個別支援計画を作り、目標や通所スケジュール、訓練内容を決めていきます。ここで「就職したい時期」を必ず共有してください。持ち時間が短いなら、計画の組み方が変わります。
就労移行支援のメリットに関するよくある質問
- 就労移行支援は本当に意味がありますか?
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事業所選びと本人の動き方次第、というのが私の答えです。厚生労働省の資料では、一般就労への移行率が0%の事業所が約3割強ある一方、移行率20%以上の事業所も約4割あります。同じ制度でも中身の差が大きい。「意味がある事業所を選べるかどうか」が分かれ目です。だから見学して、数字を聞いて、複数を比べる意味があります。
- 利用中にアルバイトはできますか?
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多くの事業所では原則禁止ですが、自治体によっては許可が出る場合があります。私は運よく許可が出て、アルバイトをしながら通所していました。ただし許可する自治体は少ないと聞きますし、両立は体力的にかなりきついです。金銭面で不安がある場合は、利用前にお住まいの自治体の障害福祉課に必ず確認してください。
- 通所しながら転職エージェントも使えますか?
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事業所によります。転職エージェントとの併用そのものを禁止している事業所もありますし、私が通った事業所のように「使える求人はハローワークのみ」という制限がかかることもあります。しかもこの手の条件は、入所前に説明されないことがある。併用を考えているなら、見学の時点で「エージェントとの併用は可能ですか」と確認してください。
- 途中で事業所を変えることはできますか?
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変えること自体は可能です。ただし退所手続き・新しい事業所探し・入所手続きで1〜2ヶ月かかります。しかも、前の事業所で使った日数は差し引かれるのに、積み上げた通所期間は新しい事業所ではリセットされることがあります。2年の持ち時間を圧迫するので、最初の事業所選びがそれだけ重要になります。
- 障害者手帳がなくても利用できますか?
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利用できる場合があります。手帳がなくても、医師の診断書や意見書があれば自治体の判断で認められるケースがあります。まずはお住まいの市区町村の障害福祉課に相談してみてください。
- 利用期間の2年を超えることはできますか?
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市区町村に申請して認められれば、最長1年の延長が可能な場合があります。ただし厚生労働省の資料では、利用者36,607人のうち2年以下が93.5%、2年超3年未満が5.9%、3年超は0.5%。延長を使えている人は1割にも届きません。延長は例外と考えて、2年以内に就職する前提で計画を立てるほうが安全です。
- 就労移行支援と就労継続支援の違いは何ですか?
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就労移行支援は「一般企業への就職を目指す訓練」で、利用期間は原則2年、工賃は出ません。就労継続支援A型は「雇用契約を結んで働く場所」で最低賃金以上の賃金が出ます(平均賃金月額 約86,752円/令和5年度)。B型は「雇用契約なしで働く場所」で工賃が出ます(平均工賃月額24,141円/令和6年度)。目的が違うので、「就職したいのか」「今は働く場が欲しいのか」で選ぶものが変わります。
まとめ|就労移行支援のメリットは本物。でも「受け取れるか」は事業所選びで決まる
最後にもう一度、メリットを振り返ります。
- 生活リズムが整い、働ける体が戻ってくる(通所率は記録して面接で使う)
- 障害特性・強み・弱みを、企業に伝わる言葉に変えられる
- 就職に必要なスキルを自己負担なしで学べる(学べる内容は事業所で全然違う)
- メンタル面のサポートで「壊れた原因」と向き合える
- 就職活動を伴走してもらえる(ただし使える求人の範囲は要確認)
- 就職後も6ヶ月+最長3年の定着支援が受けられる
- 失敗しても評価に響かない場所でコミュニケーションを練習できる
- 同じ境遇の仲間と出会える
これらは本物のメリットです。就労移行支援は、正しく使えば人生の流れを変えるきっかけになる制度だと思っています。
でも、その「正しく使えば」が曲者なんです。
メリットを受け取れるかどうかは、事業所選びで決まります。
見学は最低3ヶ所。就職率は分母と雇用形態まで聞く。使える求人の経路とエージェント併用の可否は、入所前にしか確認できない。体験通所で日常の空気を確かめる。そして、転職エージェントという選択肢も頭の片隅に置いておく。
これを知っているだけで、結果は変わるはずです。
私は事業所選びで失敗しました。利用期間のリミットが迫って、泣く泣く事業所の利用を諦めた。そこから転職エージェントに切り替えて、何十社も落ちながら、ようやく希望どおりの転職ができた。
へこむことも、泣くことも、悔しくてたまらないことも山ほどありました。転職サイトの不採用通知を開くのは、いつも深夜でした。誰にも見られたくなかったから。
でも、動き続けたことで、今こうして配慮を受けながら働けています。一つダメならもう一つ。何ヶ所も顔を出していると、1つくらい助けてくれるところがある。何の保証もありませんが、私の場合はそうやって沈まずに済みました。
振り返れば遠回りもありました。でも、これが自分にとっての最善だったと思っています。
大丈夫です。事業所選びで大失敗した私でも、希望どおりの転職ができたんですから。
私の遠回りを、あなたはショートカットしてください。
メリットの一覧を読んで「良さそうだ」と思えたなら、その感覚は正しいです。
利用期間は2年しかありません。最初の1ヶ所を間違えると、取り返しがつかない。
だから、見学に行く前にこれだけはやってください。
見学質問テンプレート10選つき






