【2年は短い】就労移行支援とは?利用期間を無駄にしないための完全ガイド

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「就労移行支援って、結局なんなの?」

医師や支援者から勧められた。ネットで調べていてたどり着いた。家族が「こういうサービスがあるらしい」と教えてくれた。

きっかけは人それぞれだと思います。でも、ここにたどり着いたということは、「今の働き方がつらい」「もう一度、自分に合った形で働きたい」——そんな気持ちが、あなたの中にあるんじゃないでしょうか。

私は40代半ばの会社員です。一般雇用で働いていた頃、心身を壊して休職しました。復職はしたものの、職場では腫れ物に触るような扱い。全力で働きたいのに体が動かない。周りの目が突き刺さる。そんな日々に限界を感じて、最終的に退職を選びました。

そこから障害者手帳を取得し、就労移行支援事業所の存在を知ったんです。藁にもすがる思いで利用を決めました。

——結果、最初に選んだ事業所で大失敗しました。

相談の時はあんなに親切だったのに、入所してから話が変わった。ブログに載っていた「利用者の声」はスタッフ監修だと後から知った。有資格者はいたけど、いるだけだった。結局、人間関係のトラブルもあって退所。そこから新しい事業所を探して、入所手続きをして……気づけば数ヶ月が溶けていました。

最終的に就労移行支援の利用は諦めて、転職エージェント3社を使って就職しました。何十社も落ちて、4ヶ月かかりました。でも、希望通りの条件で内定をもらえた時、エージェントとの電話を切ってから声を出して泣きました。

この記事では、そんな私が「あの頃の自分に渡したかった情報」を全部まとめました。

就労移行支援の制度の仕組みから、費用、利用期間、他の制度との違い。そして何より、事業所選びで失敗しないための具体的なポイントまで。公式サイトには載っていない、経験者だからこそ言えるリアルをお伝えします。

私の遠回りを、あなたはショートカットしてください。

目次

就労移行支援とは?障害のある方が一般企業への就職を目指す福祉サービス

まず結論から言います。就労移行支援とは、障害や難病のある方が一般企業への就職・復職を目指すための、国が定めた福祉サービスです。

障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」の一つで、就労移行支援事業所に通所しながら、働くために必要なスキルを身につけ、就職活動のサポートを受け、就職した後の職場定着まで一貫した支援を受けることができます。

もっとシンプルに言うなら、「就職するための訓練と、就活と、就職後のフォローをまるっとやってくれる場所」です。

全国に3,000か所以上の事業所があり、約9割の利用者が無料で利用しています(参照:厚生労働省「就労移行支援について」)。利用期間は原則2年間。この「2年」の重さについては、後ほど詳しくお伝えします。

就労移行支援って、通うだけで就職できるの?それなら楽勝じゃん!

その考えが一番危ないんです。”通うだけ”で就職できた人を、私は見たことがありません。大事なのは、自分に合った事業所を選ぶこと。そしてそこで何を身につけるかです。

就労移行支援で受けられる4つのサポート内容

就労移行支援事業所で受けられるサポートは、大きく分けて4つあります。「訓練して終わり」ではなく、就職後まで見据えた一貫支援が特徴です。

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サポート内容具体的にやること
① スキルトレーニングPCスキル、ビジネスマナー、コミュニケーション訓練、ストレス対処法など
② 職場見学・実習実際の企業で職場体験。自分に合う環境かどうか事前に確認できる
③ 就職活動サポート履歴書・職務経歴書の添削、模擬面接、企業とのマッチング
④ 職場定着支援就職後の相談対応、企業への環境調整の依頼、定期的なフォローアップ

ここで大事なポイントがあります。事業所によって、訓練内容は大きく異なります。

たとえば、AIやデータサイエンスなど先端IT分野が学べるNeuro Diveのような事業所もあれば、未経験からイチから基礎を身につけられるCocorportのような事業所もある。在宅訓練に対応してITスキルが習得できるmanabyもあれば、障害種別ごとに専門コースを設けているatGPジョブトレのような事業所だってあります。

だからこそ、「自分が何を身につけたいか」を明確にしてから事業所を選ぶことが重要なんです。この順番を逆にすると……まぁ、私みたいに痛い目を見ます(笑)。

就労移行支援の対象者|障害者手帳がなくても利用できる?

「自分でも利用できるのかな?」——これ、すごく多い疑問だと思います。結論から言うと、障害者手帳がなくても利用できる場合があります。

就労移行支援の対象者は、以下の条件を満たす方です。

  • 身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病のいずれかがある方
  • 年齢が18歳以上65歳未満の方
  • 一般企業への就職を希望している方
  • 原則として離職中の方(休職中でも利用可能な場合あり)

障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書があれば利用できるケースがあります。ただし判断は自治体によって異なるため、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談してみてください。

つまり、障害者手帳の取得が先じゃなくても、就労移行支援を利用できる可能性はあるんですね。

そうなんです。「手帳がないから無理だ」と思い込んで諦める方がいるんですが、まずは相談してみることが大切です。
私の場合は手帳を先に取得しましたが、診断書だけで利用を開始した方も実際にいました。

就労移行支援の利用にかかる費用|約9割の方が無料で利用中

「お金がかかるなら、今の経済状況では厳しい」——利用を検討する時、この不安は避けて通れないと思います。

結論から言うと、就労移行支援の利用者の約9割は自己負担0円(無料)で利用しています。

利用料金は世帯収入によって月ごとの負担上限額が決まる仕組みです。どれだけ通っても、上限額を超えることはありません。

世帯収入別の自己負担上限額一覧

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区分世帯収入の目安月額上限額
生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯
(所得割16万円未満/収入が概ね670万円以下)
9,300円
一般2上記以外37,200円

(参照:LITALICOワークス「就労移行支援の利用料金」

ここで注意してほしいのは、区分を決めるのは「年収」ではなく「市町村民税の所得割額」だということです。表の年収はあくまで目安。同じ年収でも、控除の内容によって区分が変わることがあります。自分がどの区分になるかは、市区町村の窓口で確認するのが確実です。

ここでいう「世帯収入」とは、本人と配偶者の収入の合計です。親の収入は含まれません。つまり、独身で離職中の方であれば、ほとんどの場合は無料で利用できます。

ただし、正直に言わせてください。利用料が無料でも、通所にはお金がかかります。

交通費、昼食代。毎日通えば、月に数万円の出費になることもあります。自治体によっては交通費の補助制度がありますが、全ての自治体にあるわけではありません。

私の場合は、自治体からアルバイトの許可が出たので、アルバイトをしながら通所していました。でも、これがまた体力的にかなりきつかった。通所で疲れた体でアルバイトに向かう日々は、正直しんどかったです。

お金のことは事前にしっかり計算しておいてください。利用を始めてから「やっぱり無理」となると、それこそ時間を無駄にしてしまいます。

えっ、利用料タダなのにお金かかるの?それ聞いてないんだけど……。

利用料と生活費は別の話だよ、サポト。交通費や食費は自腹だから、事前に月いくらかかるか計算しておかないと後で困るよ。

就労移行支援の利用期間は原則2年|この「2年」が持つ本当の意味

就労移行支援の利用期間は、原則として最長2年間です。

多くのサイトが「利用期間は原則2年です」と書いて終わっています。でも、この「2年」の重さを、私は身をもって知りました。

2年間あれば十分だと思いますか? 私も最初はそう思っていました。

でも現実はこうです。

最初の事業所が合わなかった。退所を決める。でも退所の手続きに時間がかかる。次の事業所を探す。見学に行く。入所手続きをする。これだけで1〜2ヶ月が消えます。

さらに新しい事業所では「最低でも3ヶ月は通ってほしい」と言われる。しかも前の事業所の利用期間が引き継げない場合もある。

私の場合、最初の事業所で数ヶ月を使い、退所からの移行で時間をロスし、気づいた時には就職したい時期までのリミットが迫っていました。利用期間の残り日数を数えた時、スマホを持つ手が震えたのを覚えています。

結局、私は泣く泣く就労移行支援事業所の利用を諦めました。

これだけは覚えておいてください。2年は有限です。最初の事業所選びで失敗すると、取り返しがつかなくなります。

延長については、市町村の審査会で認められれば可能ですが、簡単に延長できるわけではありません。2回目の利用も制度上は可能ですが、条件があります。

だからこそ、この後でお伝えする「事業所選び」のセクションは、どうか読み飛ばさないでください。

利用期間の2年は、思っている以上にあっという間です。事業所を変えるだけで1〜2ヶ月のロスが発生する。この現実を知っているかどうかで、事業所選びの本気度が変わるはずです。

就労移行支援と就労継続支援の違い|A型・B型との比較で自分に合う制度がわかる

「就労移行支援」と似た名前のサービスに、「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」があります。名前が似ていてややこしいですよね。

この3つは目的も対象者も全く異なる制度です。自分がどの制度を使えばいいのか判断するために、ここで整理しておきましょう。

就労移行支援・就労継続支援A型・B型の比較表

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就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型
目的一般企業への就職を目指す雇用契約を結んで働く場を提供働く場・活動の場を提供
雇用契約なし(訓練生の立場)ありなし
賃金・工賃なし最低賃金以上が保障工賃(最低賃金の保障なし)
対象年齢18歳以上65歳未満18歳以上65歳未満年齢制限なし
利用期間原則2年制限なし制限なし
向いている人一般企業で働きたい人まずは福祉的就労で収入を得たい人リハビリを兼ねて働きたい人

一言でまとめると、こうなります。

  • 一般企業で働きたい → 就労移行支援
  • まずは福祉的な職場で収入を得たい → 就労継続支援A型
  • 働くこと自体のリハビリをしたい → 就労継続支援B型

もう一つ、名前が似ていて混同されやすいのが「就労定着支援」です。これは就労移行支援とは別のサービスで、就職した「後」に使うもの。気になる方は下を開いてみてください。

「就労定着支援」って何が違うの?

就労定着支援は、就職した後に「働き続けること」を支えるためのサービスです。就労移行支援などを利用して一般企業に就職した方が、就職から6ヶ月を経過した後に利用できます。

具体的には、月1回以上の面談で生活面・仕事面の課題を整理し、必要に応じて企業側との調整(業務量の相談、配慮事項の再確認など)を担当者が代わりにやってくれます。利用できる期間は最長3年間です。

整理すると、就労移行支援=就職する「まで」/就労定着支援=就職した「後」。バトンを渡すような関係だと思ってください。なお、就労移行支援事業所そのものが職場定着のフォローをしてくれるケースもあります。どこまで見てくれるのかは事業所によって差があるので、見学の時に「就職した後のフォローはどこまでやってもらえますか?」と必ず聞いておきましょう。

迷ったら、お住まいの自治体の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談してみてください。自分の状態や目標に合った制度を一緒に考えてくれます。

また、「まだ働くこと自体に不安がある」「まずは生活リズムや自己理解から整えたい」という方には、自立訓練(生活訓練)という選択肢もあります。就労移行支援の前段階として、生活の土台づくりから始められるサービスです。

エンラボカレッジ
〉〉詳しくはこちら
エンラボカレッジ

「自分を知る」ことから始める、新しいスタイルの自立訓練(生活訓練)サービス。

カフェのような空間で300種以上のプログラムを学び、自分の特性や対処法をまとめた「自分専用の取扱説明書」を完成させられるのが強み。

いきなり働くことに不安があり、まずは生活の土台作りや自己理解から一歩ずつ進めたい人に向いている。

「いきなり就労移行支援はハードルが高い」と感じる方は、まずエンラボカレッジのような自立訓練サービスで自分を知ることから始めるのも、立派な一歩です。

ハローワークや転職エージェントとの違い

就労移行支援は、ハローワークや転職エージェントとも役割が異なります。

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就労移行支援ハローワーク転職エージェント
主な役割訓練+就活+定着支援求人紹介・職業相談求人紹介・条件交渉・面接対策
訓練あり(通所して受講)職業訓練校の紹介ありなし
定着支援あり(最長3年間)限定的なし〜限定的
費用約9割が無料無料無料(企業側が費用負担)
障害者雇用対応障害に特化障害者専用窓口あり障害者雇用専門のエージェントあり

大事なのは、これらは対立するものではなく、併用できるということです。

実際、私は就労移行支援を途中で断念した後、障害者雇用専門の転職エージェント3社を利用して就職しました。事業所に通いながらエージェントに登録しておく、という戦略も十分ありです。選択肢は多いほうがいい。これは間違いありません。

利用する就労移行支援事業所によっては併用を禁止するところがあるかもしれません。
併用を考える場合は、入所する前に確認しましょう。

就労移行支援のメリット・デメリット|経験者が正直に語る

就労移行支援を利用するかどうか迷っている方にとって、メリットだけ並べられても判断材料にはなりません。ここでは経験者の視点で、良い面も悪い面も正直にお伝えします。

就労移行支援の5つのメリット

就労移行支援のメリット
  • ① 一人では難しい自己分析・適性の整理ができる
  • ② 生活リズムが整い、就労に向けた基礎体力がつく
  • ③ 職場見学・実習で「働くイメージ」を事前につかめる
  • ④ 履歴書・面接対策を専門スタッフがサポートしてくれる
  • ⑤ 就職後も定着支援が受けられる(孤立しない)

特に大きいのが①の自己分析です。障害を抱えながら働くうえで、自分の得意・不得意、体調の波、どんな配慮があれば力を発揮できるのか——こういったことを整理するのは、一人ではかなり難しい。事業所のスタッフと一緒に掘り下げることで、自分でも気づかなかった強みや課題が見えてきます。

そして⑤の定着支援。就職がゴールではないんです。「配慮を受けながら働き続けられる場所」を見つけて、そこに定着することがゴール。就職後も相談できる存在がいるのは、想像以上に心強いものです。

就労移行支援の4つのデメリット

一方で、デメリットもあります。ここを知らずに利用を始めると「こんなはずじゃなかった」となりかねません。

就労移行支援のデメリット
  • ① 利用期間中は原則として収入がない(アルバイトは原則禁止)
  • ② 事業所によって支援の質に大きな差がある
  • ③ 2年の利用期間は延長が難しい
  • ④ 合わない事業所に当たると、時間を大きくロスする

②と④は、私が身をもって経験したことです。

最初に選んだ事業所は、大手で安心だと思っていました。ホームページはきれいだし、実績も謳っている。相談の時はスタッフの対応も丁寧でした。

でも入所してみたら、まるで別の場所だった。

相談時には「もちろん対応します」と言っていた要望が、入ってから「実はそれは難しくて……」と後出しされる。事業所のブログに載っていた「利用者の生の声」は、実際にはスタッフが監修していて、許可が出ないものは掲載されないシステムだった。有資格者はいました。でも、いるだけ。特別なケアがあるわけではなかった。

「あの時の私、”大手だから安心”って完全に思考停止してましたね(笑)」——今だから笑い話にできますが、当時は本当にきつかった。

あなたもこんな経験をする必要はありません。だからこそ、この後の「事業所選び」のセクションをしっかり読んでほしいんです。

就労移行支援の利用開始までの流れ|5つのステップで解説

「利用したい」と思ったら、具体的にどう動けばいいのか。5つのステップで解説します。

STEP

情報収集・相談

まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口相談支援事業所に相談しましょう。「就労移行支援を使いたい」と伝えるだけでOKです。並行して、ネットで事業所を検索・比較することも大切です。この段階で「自分がどんな訓練を受けたいか」「どんな職種を目指したいか」を、なんとなくでいいのでイメージしておくと、次のステップがスムーズになります。

STEP

事業所の見学・体験利用

必ず複数の事業所を見学してください。最低でも3ヶ所を推奨します。1ヶ所だけ見て決めるのは、本当に危険です。見学時に何を確認すべきかは、後の「事業所選び」のセクションで詳しく解説しています。体験利用ができる事業所も多いので、実際の雰囲気やプログラムを肌で感じてから判断しましょう。

STEP

障害福祉サービス受給者証の申請・取得

利用する事業所が決まったら、市区町村の窓口で「障害福祉サービス受給者証」を申請します。申請に必要なのは、障害者手帳(または医師の診断書・意見書)と、サービス等利用計画案です。サービス等利用計画案は、相談支援事業所に作成を依頼するか、自分で作成(セルフプラン)することもできます。申請から発行まで2週間〜1ヶ月程度かかることが多いので、見学と並行して手続きを進めておくとスムーズです。

STEP

事業所との利用契約

受給者証が届いたら、選んだ事業所と正式に利用契約を結びます。この時、個別支援計画が作成されます。自分の目標、訓練の方向性、通所頻度などをスタッフと一緒に決めていきます。ここで遠慮せずに自分の希望を伝えることが大切です。事業所はビジネスでやっている。だから、対等に、自分にとって有利な条件を通していくべきなんです。

STEP

通所開始 → 就職活動 → 就職

いよいよ通所がスタートします。通所頻度は体調に合わせて調整可能です。最初は週2〜3日から始めて、徐々にペースを上げていく方も多くいます。無理は禁物。でも、甘えすぎても前に進まない。このバランスは、スタッフと相談しながら見つけていきましょう。就職活動の時期は事業所と相談して決めます。焦らず、でも「2年」のタイムリミットは意識しておいてください。

この5ステップで一番つまずきやすいのが、STEP3の受給者証の申請です。聞き慣れない書類が出てくる上に、自分で用意するものと役所が用意するものが入り混じっているからです。詳しく知りたい方は、下を開いてみてください。

「障害福祉サービス受給者証」をもう少し詳しく

受給者証は「あなたはこの障害福祉サービスを、この量だけ使えます」と自治体が認めた証明書です。障害者手帳とは全くの別物なので、そこを混同しないでください。手帳は障害の状態を証明するもの、受給者証はサービスの利用を認めるもの。役割が違います。

証書には、利用できるサービスの種類、1ヶ月に使える日数(支給量)、そして負担上限月額が記載されます。通所を始めたら、事業所に提示することになります。

申請でつまずきやすいのが「サービス等利用計画案」です。これは「どんな目標で、どのサービスを、どれくらい使うか」をまとめた計画書のこと。相談支援事業所に依頼して作ってもらう方法と、自分や家族が作るセルフプランという方法があります。相談支援事業所は地域によって混み合っていて、依頼から作成まで数週間待つこともあります。急ぐ事情があるならセルフプランも選択肢に入れて、窓口で相談してみてください。

申請から発行までは2週間〜1ヶ月程度が目安ですが、自治体の混み具合でもっとかかることもあります。見学と申請は並行して進めるのが鉄則です。「事業所を決めてから申請しよう」と待っていると、その分だけ2年のタイムリミットが削られていきます。

事業所選びが全てを決める|失敗しない就労移行支援事業所の選び方

ここが、この記事で一番伝えたいことです。

就労移行支援という制度自体は素晴らしい。でも、その制度を活かすも殺すも、事業所選びで全てが決まります。

上位のサイトを見ると、「見学に行きましょう」「自分に合ったところを選びましょう」と書いてあります。正しいです。でも、「何を見て、何を聞いて、何を基準に判断するか」まで踏み込んでいるサイトは、ほとんどありません。

事業所選びで大失敗した私だからこそ言えることがあります。どうかここは読み飛ばさないでください。

経験者が事業所選びで大失敗した話

私が最初に選んだ事業所は、ネットで調べた限りでは申し分なかった。大手で、実績があって、ホームページも整っている。相談に行った時の対応も親切で、こちらの要望に「もちろん対応します」と前向きな返事をくれました。

「ここなら大丈夫だ」

そう思って入所を決めました。

でも入所した後から、話が変わり始めたんです。

相談時には触れなかった不都合な条件が、次々と後出しで伝えられる。事業所のブログに載っていた「利用者の生の声」は、スタッフの監修を通さないと掲載されないものだった。「利用者のリアルな感想」だと信じて読んでいた自分が、馬鹿みたいでした。

有資格者のスタッフもいました。でも、名前があるだけで、特別な支援やケアを受けた実感はなかった。資格を持っていることと、その資格を活かした支援をしてくれることは、全くの別物でした。

さらに人間関係でもつまずいて、限界を感じて退所を申し出ました。

入る時はあんなに優しかった人たちが、辞めると伝えた瞬間、態度が一変したんです。退所の手続きも事務的で、最後は冷たい空気の中で書類にサインしました。あの日の事業所のドアを出た時の、背中に感じた冷たい視線は今でも覚えています。

そこから新しい事業所探し、見学、入所手続き。全部合わせて1〜2ヶ月が消えました。

「事業所選びで失敗してからが本番でした」——これ、笑えない冗談です。

見学時に必ず確認すべき7つのチェックポイント

私の失敗を踏まえて、見学時に絶対に確認してほしいポイントを7つまとめました。見学に行くときは、このリストをスマホにメモしておいてください。

  • ① 就職実績を具体的な数字で答えられるか
    「過去1年の就職率は○%」「定着率は○%」と即答できる事業所は信頼度が高い。「多くの方が就職されています」としか言えない事業所は要注意。
  • ② 訓練プログラムの内容が自分の目標に合っているか
    IT系の仕事を目指しているのに、訓練内容がビジネスマナーだけでは意味がない。自分が身につけたいスキルが学べるか具体的に確認すること。
  • ③ スタッフとの相性
    質問に対して、具体的かつ正直に答えてくれるか。不都合なことも隠さず話してくれるか。ここが最も大事。
  • ④ 通所形態の柔軟性
    在宅訓練に対応しているか、時短通所は可能か、体調に合わせた柔軟な調整ができるか。
  • ⑤ 利用者の雰囲気
    実際に通っている利用者さんの表情や空気感を観察する。暗い顔で黙々と作業している事業所と、和やかに会話がある事業所では全く違う。
  • ⑥ 通所にかかる交通費・時間は無理のない範囲か
    毎日通う場所です。片道1時間以上かかると、それだけで体力を消耗する。交通費も計算しておくこと。
  • ⑦ 退所・事業所変更時の対応方針を事前に確認する
    「もし合わなかった場合、退所や変更はスムーズにできますか?」と聞いてみてください。この質問に対する反応で、事業所の本質が見えます。

特に①は重要です。具体的な数字を出せるかどうかで、その事業所が自分たちの支援にどれだけ自信を持っているかがわかります。曖昧な言葉でごまかす事業所には、曖昧な理由があるんです。

⑦の「退所時の対応」を事前に聞くっていう発想、なかったです。入る前から辞める時のことを聞くのは気まずくないですか?

気まずいと感じるのは当然です。でも、この質問に対して嫌な顔をしたり、はぐらかしたりする事業所は危険信号なんです。
逆に、正直に答えてくれる事業所は信頼できます。遠慮は不要ですよ。

「大手だから安心」は本当か?事業所選びの3つの落とし穴

最後に、事業所選びでありがちな3つの落とし穴をお伝えします。全部、過去の私が見事にハマったものです。

落とし穴①:大手=支援の質が高いとは限らない

大手の事業所は知名度がある。ホームページも立派。でも、大手だから個別の支援が手厚いとは限りません。むしろ利用者が多い分、一人ひとりに割ける時間が少ない事業所もあります。「大手だから安心」は、あの頃の自分に一番言ってやりたい言葉です。

落とし穴②:有資格者がいる=専門的なケアが受けられるとは限らない

「精神保健福祉士在籍」「社会福祉士常駐」と書いてあると、それだけで安心感がありますよね。でも、資格を持っていることと、その専門性を発揮した支援をしてくれることは全くの別物です。見学時に「その資格を活かして、具体的にどんな支援をしてくれるのか」を聞いてみてください。

落とし穴③:ホームページやブログの「利用者の声」は鵜呑みにしない

事業所のホームページに掲載されている「利用者の声」「卒業生の声」は、基本的にスタッフが選別・監修しています。ネガティブな内容が掲載されることはまずありません。参考にするのはいいですが、それだけで判断するのは危険です。自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分で感じたことを信じてください。

事業所選びで後悔しないコツはたった一つ。「必ず自分の目で確かめること」です。
ネットの情報だけで決めないでください。最低3ヶ所は見学してください。これだけで失敗の確率は格段に下がります。
最後は直感です。結局、どこにお世話になるにしても人間関係での悩みは尽きません。ここの雰囲気良いな。ここなら安心する。
逆に此処のこんな対応に心がザワザワしたな。こういった感覚も大切です。

自分に合った就労移行支援事業所を見つけよう

ここまで事業所選びの重要性をお伝えしてきました。「じゃあ具体的に、どの事業所を見学すればいいの?」と思っている方もいるでしょう。

以下に、特徴の異なる主要な就労移行支援事業所をまとめました。まずはこの中から気になる事業所をピックアップして、見学の予約を入れてみてください。

大事なのは「1ヶ所に絞らないこと」です。必ず複数の事業所を比較してから決めてください。あなたに合う事業所は、比較してこそ見えてきます。

Neuro Dive
〉〉詳しくはこちら
Neuro Dive

ITスキル習得に強い
AI・データ分析など先端IT分野に特化
障害の配慮がありつつ、高年収が狙える
就職後のキャリアアップまで見据えた支援
まずWEB説明会(無料)から始められる
ココルポート
〉〉詳しくはこちら
ココルポート

生活リズムから整えたい人に
プログラム数が多く、生活面から就職準備まで幅広く対応
交通費・昼食費サポートあり、通所負担が少ない
初心者でも取り組みやすい個別サポート
manaby
〉〉詳しくはこちら
manaby

在宅・自分ペースで学びたい人に
オンライン中心で、外出が難しい時期でも通所できる
IT系・WEB制作など在宅就労を目指せるコース
自分のペースを崩さず就職準備を進められる

上の比較表を見ると、事業所ごとに訓練内容や対応形態が全く違うことがわかると思います。自分の目標や生活スタイルに合った事業所を選ぶこと。これが全ての出発点です。

就労移行支援だけに頼らない|転職エージェントとの併用で選択肢を広げる

ここまで就労移行支援について詳しく解説してきましたが、最後にもう一つ、大事な話をさせてください。

就労移行支援事業所だけが、就職への道ではありません。

障害者雇用に特化した転職エージェントという選択肢があります。そして、就労移行支援とエージェントは対立するものではなく、併用することで相乗効果を生むものです。

私の場合は、就労移行支援の利用を途中で断念した後、dodaチャレンジ障害者雇用バンクアットジーピー(atGP)の3社を利用しました。

1社に偏らず3社を使った理由は、エージェントによって持っている求人も、担当者の質も、サポートの手厚さも全然違うからです。こちらの希望条件を真剣に聞いてくれるエージェントもいれば、手持ちの求人に押し込もうとするエージェントもいた。だから複数使って比較することが大切なんです。

転職活動は4ヶ月かかりました。何十社も落ちました。書類で落とされ、手応えがあった面接でも不採用が続いた。面接の前日、何度も履歴書を読み返しては閉じて、結局朝まで眠れなかった夜もあります。

それでも諦めずに続けた結果、複数の内定をもらうことができました。年収も希望通りになった。

ただ、ここは正直に書かせてください。私が決めたのは、正社員ではなく契約社員の求人です。

障害者雇用の世界では、正社員の求人そのものが本当に少ないんです。エージェントが持ってくる求人も、契約社員や嘱託社員が中心でした。「障害者雇用でも正社員を目指せます!」と書いてあるサイトを見るたびに、間違ってはいないけど、そこだけ切り取るのはフェアじゃないよなと思います。

でも、悲観する話でもありません。私は今、契約社員として働きながら正社員登用を目指しています。最初から正社員の椅子を狙うのではなく、まず配慮のある環境に入って、実績を積んでから登用ルートに乗る。これも立派な戦略です。

だから求人票を見るときは、雇用形態だけで切り捨てないでください。「正社員登用制度はありますか」「過去に登用された方はいますか」——この2つをエージェントに聞くだけで、その求人の見え方は変わります。少ない選択肢の中でも、戦い方次第で道はあるんです。

事業所に通いながらエージェントに登録しておく。事業所の訓練でスキルを磨きつつ、エージェント経由で求人情報を集めておく。こうすることで、就職のチャンスを最大化できます。

選択肢は多いほうがいい。事業所だけに頼らず、使えるものは全部使ってください。

障害者雇用バンク
〉〉詳しくはこちら
障害者雇用バンク

複数の求人を一覧で比較できる使いやすさが特徴。
求人検索→エージェント相談の流れがスムーズで、「まず選択肢を広く見てから決めたい」人に最適。
登録・利用は完全無料。
dodaチャレンジ
〉〉詳しくはこちら
dodaチャレンジ

大手転職サービスdodaが運営。
非公開求人を含む豊富な求人数が強みで、障害者雇用の専任アドバイザーが書類〜面接まで一貫してサポートしてくれる。
大手・安定企業への転職を目指す人に向いている。
atGP転職サービス
〉〉詳しくはこちら
atGP転職サービス

障害者雇用支援の実績が業界トップクラス
障害の種類・特性ごとに専門的なアドバイスが受けられ、配慮のある職場への転職成功率が高い。
就労移行支援からそのまま転職活動に移行したい人にも対応。

エージェントは無料で利用できます。複数のエージェントに登録して、担当者の対応や求人の質を比較してみてください。自分に合うサポートは、比較してこそ見つかるものです。

事業所もエージェントも複数使えってこと? めんどくさくない?

面倒だと思う気持ちはわかります。でも、1つに絞って失敗した時の方がよっぽど面倒なんです。
私が1年かけて遠回りしたのは、最初に「1つだけ」で決めてしまったからです。複数比較するのは、最短ルートを見つけるための投資ですよ。

就労移行支援に関するよくある質問

障害者手帳がなくても就労移行支援は利用できますか?

利用できる場合があります。障害者手帳がなくても、医師の診断書や意見書があれば就労移行支援を利用できるケースがあります。ただし判断は自治体によって異なるため、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談してみてください。「手帳がないから無理」と思い込んで諦めるのは、もったいないです。

就労移行支援の利用中にアルバイトはできますか?

原則として禁止されていますが、自治体によっては許可が出る場合があります。私自身、自治体から許可をもらってアルバイトをしながら通所していました。ただし、通所で疲れた体でのアルバイトは体力的にかなりきついです。許可が出る自治体は少ないとも聞いていますので、利用前に確認しておきましょう。

就労移行支援を利用して本当に就職できますか?

厚生労働省のデータによると、就労移行支援から一般就労への移行率は年々増加しており、令和6年には約2.9万人が一般就労しています(参照:厚生労働省資料)。ただし、この数字にはパート・アルバイトも含まれており、事業所ごとの差も非常に大きいのが現実です。「全体の平均値」だけで判断するのではなく、自分が利用する事業所の実績を直接確認することが大切です。

就労移行支援が合わなかった場合、辞められますか?

辞めることは可能です。ただし、退所の手続き→新しい事業所探し→見学→入所手続きで1〜2ヶ月かかることは覚悟してください。さらに、前の事業所の利用期間が新しい事業所に引き継げない場合もあります。だからこそ、最初の事業所選びが重要なんです。「合わなかったら変えればいい」は、2年という制限の中では通用しにくい考え方です。

2年で就職できなかったらどうなりますか?

市町村の審査会で認められれば、利用期間の延長が可能です。ただし、延長が認められるかどうかは個別の判断になるため、必ず延長できるとは限りません。延長が難しい場合でも、就労継続支援への切り替えや、dodaチャレンジなどの障害者雇用専門の転職エージェントを利用するなど、別の選択肢があります。道は一つではありません。

就労移行支援と就労継続支援、どちらが自分に合っていますか?

一般企業での就職を目指すなら就労移行支援、まずは福祉的な就労で安定して働くことを優先したいなら就労継続支援が適しています。迷う場合は、相談支援事業所やハローワークの障害者専用窓口に相談してみてください。自分の状態や目標に合った制度を、一緒に考えてくれます。

まとめ 就労移行支援は「正しく選べば」人生を変えてくれるサービス

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この記事でお伝えしたことを、改めて整理します。

  • 就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための国の福祉サービス
  • 約9割の利用者が無料で利用できる。ただし交通費・昼食代は別途かかる
  • 利用期間は原則2年。この2年は思っている以上に短い
  • 事業所選びが全てを決める。必ず複数の事業所を見学・比較すること
  • 「大手だから安心」「有資格者がいるから安心」は落とし穴。自分の目で確かめること
  • 就労移行支援だけに頼らず、転職エージェントとの併用で選択肢を広げること

私は事業所選びで失敗して、大切な時間を無駄にしました。でも、その遠回りがあったからこそ、今この記事を書けています。

事業所選びから転職活動まで、合わせて約1年。へこむことも、泣くことも、悔しくてたまらないこともありました。面接で落ち続けた時は「自分には無理なんじゃないか」と何度も思った。

でも、行動し続けたことで何とかなりました。今は契約社員として、希望通りの条件で、配慮を受けながら働けています。正社員登用という次の目標も見えています。

就職がゴールじゃないんです。「配慮を受けながら働き続けられる場所」を見つけるのがゴールです。

大丈夫です。事業所選びで大失敗した私でも、希望通りの転職ができたんですから。

私の遠回りを、あなたはショートカットしてください。

まずは気になる事業所の見学を予約すること。それが、あなたの最初の一歩です。

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