30代の就労移行支援は遅い?年齢より怖い「事業所差」という現実

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「就労移行支援 30代」——このキーワードで検索しているあなたに、少しだけ先を歩いた人間として、最初に伝えたいことがあります。

30代でやり直すのは、遅くなんてありません。

同期は昇進して、後輩には追い抜かれて。スマホを開けば、友人の結婚式の写真、マイホームの投稿、子どもの七五三。みんな、ちゃんと前に進んでいる。それなのに自分は、体調を崩して、働き方そのものを見直さなきゃいけない場所に立っている——SNSをそっと閉じて、天井を見上げてため息をついた夜。あの感覚、ありませんか。

私もそうでした。全力で働きたいのに体が動かない。周りの目が突き刺さる。倦怠感を抱えたままのフルタイム勤務に限界がきて、ようやく「障害者雇用」という選択肢にたどり着いた。それでも、調べれば調べるほど「今さら訓練するところに通うなんて、キャリアの後退では」という声が頭の中で鳴り止まない。
そして30代のあなたには、そこに「2年も使ったら30代後半じゃないか」という時間の焦りまで乗ってくるはずです。

先に、この記事の立ち位置をはっきりさせておきます。私がこの選択肢にたどり着いたのは、40代になってからでした。一般雇用で心身を壊し、悩みに悩んで退職して、藁にもすがる思いで就労移行支援事業所を選び、最初の1ヶ所で大ハズレを引いた。見学の時はあんなに親切だったのに、入ってから話が全然違った。人間関係でも躓いて退所を決意し、次を探したら利用期間の壁にぶつかって、泣く泣く事業所の利用そのものを諦めました。

そこから転職エージェント3社に切り替えました。何十社も落ちました。書類で落とされ、手応えのあった面接でも不採用が続く。通知を開くのはいつも深夜でした。誰にも見られたくなかったからです。

でも——結論から言います。

最終的に複数の内定をもらい、希望通りの年収で、配慮のある障害者雇用の仕事に就くことができました。

ただし、隠さずに書きます。私の内定は契約社員です。障害者雇用の正社員求人は、現実としてとても少ない。エージェントも契約社員や嘱託社員の求人を含めて紹介してきます。
それでも私は、希望した年収と、必要な配慮を通したうえで働き始めることができました。今は正社員登用を目指しています。「正社員以外は失敗」と最初から決めつけると、選択肢はかえって狭くなる——これが私の実感です。

そして今、心から思うんです。「あの遠回りを、30代のうちにやっていれば、どれだけ楽だっただろう」と。だからこそ、30代のあなたに伝えたい。あなたは、あの頃の私よりずっと有利な位置にいます。

しかも今は、制度の追い風が吹き始めたタイミングでもあります。2026年7月、民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられました。企業が障害者を雇用する義務は、つい先日一段上がったばかりです。

この記事では、事業所選びで大失敗し、遠回りの末に希望通りの転職にたどり着いた私が、「30代だからこそ使える戦略」をお伝えします。30代が遅くないと言える根拠、同世代と比べて苦しくなる心との向き合い方、失敗しない事業所の選び方、通所中のお金、転職エージェントの併用術。必要なものを詰め込みました。

先に一つだけ断っておきます。ここに書くのは「正解」ではなく、事業所選びに失敗した私ひとりの一例です。同じ診断名でも、そこに至った背景も、しんどくなるポイントも十人十色。だから「こうすべき」ではなく「私はこうしておけば良かった」を置いていきます。拾えるところだけ拾ってください。

私の遠回りを、あなたはショートカットしてください。

目次

就労移行支援は30代でも利用できる?年齢制限と利用条件

まず、一番気になっているであろう疑問に答えます。就労移行支援は30代でも、まったく問題なく利用できます。
年齢を理由に断られる制度ではありませんし、30代が「場違い」ということもありません。私が通っていた事業所の顔ぶれを思い出しても、そこは断言できます。

就労移行支援の対象年齢と利用条件

就労移行支援の対象年齢は18歳〜64歳(65歳未満)です。30代はど真ん中。年齢を理由に利用を断られることはありません。

利用するための条件をまとめます。

  • 一般就労(企業等で働くこと)を希望していること
  • 障害や難病があること(身体・精神・知的・発達障害・難病等)
  • 65歳未満であること
  • 適性に合った職場への就労が見込まれること

障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書、自立支援医療受給者証があれば利用できるケースがあります。ただし判断は自治体によって異なります。「手帳はまだ取っていないけど…」という方も、まずはお住まいの自治体の障害福祉課に相談してみてください。

利用期間は原則最大2年(24ヶ月)市町村審査会の審査を経て最大1年間の延長が認められるケースもありますが、あてにしないほうがいいというのが私の考えです。

根拠になる数字があります。厚生労働省の資料によると、就労移行支援の利用者36,607人のうち利用期間が2年以下の人が93.5%。2年超3年未満が5.9%、3年超は0.5%です。つまり延長を使えている人は1割にも満たない。同じ資料には「3年目の延長は自治体ごとの判断にバラツキがある」という関係団体の意見も載っています。

出典:厚生労働省「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について」(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第15回・令和2年9月24日 資料1)p.16・p.9

この「2年」をどう使うかが、30代にとっては特に重要になります。理由は後半で、私の失敗談とセットでじっくり書きます。

「若い人ばかりで浮くのでは」——年齢層は事業所ごとに全然違う

「就労移行支援って、20代の若い人ばかりなんでしょ?30代で行ったら浮くんじゃないか」

私も通う前は本気で心配していました。実際に通ってみた結論を書きます。そんなことはありませんでした。

正直に書くと、全体で見れば20代が多いのは事実です。ただ「20代しかいない」わけではまったくない。私が通っていた事業所には30代・40代が5名以上いましたし、50代の方もいました。新卒で躓いた20代、私のように一般雇用で心身を壊した人、子育てが一段落して再就職を目指す人。30代がひとりで浮く、という状況にはなりませんでした。

えー、マジで?30代でも普通にいるの?若い子ばっかだと思ってビビってた…

いますよ。ただし年齢層は事業所によってまるで違います

IT系のスキル訓練に特化した事業所は若い人が集まりやすい。事務・軽作業系や、精神障害・発達障害の支援に実績のある事業所は30代・40代が多い傾向があります。

だから「30代の利用者はどのくらいいますか?」は、見学で必ず聞いてください。

ここは全国平均を調べるより、行こうとしている事業所に直接聞いたほうが早い部分です。全体の平均が何%だろうと、あなたが毎日通う場所の年齢層とは関係がありませんから。

利用料金——多くの人が0円。ただし「退職直後」は要注意

お金の話は後で1章まるごと使って正直に書きますが、利用料金についてはここで先に整理します。結論から言うと、多くの人は自己負担0円で利用できています。ただし全員ではありません。ここは30代がつまずきやすいところなので、仕組みから説明します。

利用料金は世帯の収入状況に応じた区分で決まります。月ごとの負担上限額は次のとおりです。

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区分世帯の収入状況月額の負担上限
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)9,300円
一般2上記以外37,200円

ここで30代が引っかかりやすいポイントが2つあります。

  • 判定に使われるのは「前年の所得」。退職して今は無収入でも、前年に働いていた分の所得で区分が決まるため、退職直後は負担が発生することがある。直前までフルタイムで働いていた30代は、ここに当たりやすい
  • 「世帯」の範囲は本人と配偶者(18歳以上の障害のある方の場合)。親や子どもの収入は含まれませんが、配偶者の収入は判定に入ります。実家に戻っていても親の収入は関係ない、という点は誤解されがちです

会社を退職して間もない場合は9,300円かかる可能性があります。

私は退職してすぐの利用だったので、毎月9,300円を支払っていました。

「多くの人が無料らしいから自分も0円だろう」と思い込んで予算を組むと、私のように毎月の出費が発生します。自分がどの区分になるかは、申請の段階で自治体の障害福祉課に確認してください。金額の区分は制度改正で変わることもあります。

ここは忘れずに

利用料が0円でも、通所の交通費と昼食代は基本的に自己負担です。往復の電車代と昼食代は、毎日となるとジワジワ効いてきます。一人暮らしで家賃を払っている人なら、なおさらです。自治体によっては交通費の助成がある場合もあるので、これも合わせて確認しておくと安心です。

「30代でやり直すのは遅い」は本当か——公的統計で確認できたこと

ここからが本題です。あなたの一番の不安、「30代でやり直すのは、もう遅いんじゃないか」に、ごまかさずに答えます。

ただ、答える前に一つ、正直に書いておきたいことがあります。

「30代の就職件数は◯%」——この手の数字を、私は使いません

「就労移行支援 30代」で検索すると、「ハローワーク経由の障害者就職件数は40代が最多で26.0%、30代は21.4%」といった年代別の数字を載せた記事が出てきます。「30代もこんなに就職している」と書ける、都合のいい数字です。私も最初、この記事に書こうと思いました。

でも、出典として示されている厚生労働省のページを実際に開いてみたら、そこには年齢別の内訳が一行も載っていませんでした。まったく別のテーマの審議会資料だったんです。厚労省が毎年公表している「障害者の職業紹介状況等」を全年度確認しても、障害種別・産業別・職業別の内訳はあっても、年齢別の就職件数は見当たりませんでした。就労移行支援の「年代別利用者割合」の表も同じで、一次資料にたどり着けませんでした。

根拠を確認できない数字を、あなたの人生の判断材料にしてもらうわけにはいきません。だからこの記事では使いません。

代わりに、私が実際に一次資料まで開いて確認できた事実を3つ置いていきます。地味ですが、こっちのほうが役に立つはずです。

確認できた事実①——障害者雇用の「枠」は今も増え続けている

厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(2025年6月1日現在)によると、民間企業で働く障害者の数は704,610.0人。前年から4.0%増えて、22年連続で過去最高を更新しました。実雇用率も2.41%で過去最高です。

内訳を見ると、精神障害のある人が168,542.0人で対前年比11.8%増と、伸びが一番大きい。私と同じように一般雇用で心身を壊して障害者雇用に移る人が、それだけ増えているということでもあります。

そして冒頭にも書いた追い風。民間企業の法定雇用率は2024年4月に2.5%へ引き上げられ、2026年7月からは2.7%になりました。同時に、対象となる企業の規模も従業員37.5人以上まで広がっています。これまで障害者雇用に取り組んでいなかった中小企業も、新たに採用を検討する立場になったということです。

未達成の企業は65,033社。そのうち不足数が0.5〜1人という「あと一人」の企業が64.0%障害者を一人も雇っていない企業が37,262社あります。採用の枠は、制度によって押し広げられている最中です。

出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(2025年6月1日現在・判定基準は法定雇用率2.5%)

確認できた事実②——ただし「就職率」は下がっている

ここは、都合が悪いので他の記事があまり書かない部分です。でも書きます。

厚生労働省「令和7年度 障害者の職業紹介状況等」によると、ハローワークへの新規求職申込件数は278,136件で過去最高。一方で就職件数は115,178件(前年度比0.4%減)、就職率は41.4%(前年度から1.7ポイント低下)でした。

つまり、枠は増えているけれど、応募する人はそれ以上に増えている。競争は緩んでいません。「制度が追い風だから楽勝です」とは、口が裂けても言えない。

私はこの数字を見て、むしろ腹が決まりました。年齢を気にして立ち止まっている時間があるなら、準備の質を上げたほうがいい。何十社も落ちた経験から言うと、落ちる理由はたいてい年齢ではなく、「配慮事項をうまく言語化できていない」「その会社で何ができるかを具体的に語れていない」のどちらかでした。この2つは、30代でも40代でも、練習すれば上がります。

出典:厚生労働省「令和7年度 障害者の職業紹介状況等

確認できた事実③——年齢差より「事業所差」のほうが大きい

そして、これがこの記事で一番伝えたいことです。

厚生労働省の資料には、事業所ごとの「一般就労への移行率」の分布が載っています。そこにあったのは、1年間で一人も一般就労に送り出せていない「移行率0%」の事業所が約3割強、一方で移行率20%以上の事業所が約4割という数字でした。

同じ制度、同じ2年間。それなのに、通う場所によってここまで違う。あなたの結果を左右するのは、あなたが30代であることよりも、どの事業所のドアを開けたかです。

もう一つ。就労移行支援を経て就職した人の平均利用月数は15.9ヶ月(平成29年度・n=2,023事業所)。2年をフルに使うのではなく、1年4ヶ月前後で決めている人が平均像です。「2年通わないと就職できない」わけではありません。

就職した後の話も見ておきましょう。障害者職業総合センターの調査では、ハローワークの職業紹介で就職した人の1年後の職場定着率は、障害者求人で就職した場合70.4%、一般求人で障害を開示した場合49.9%、開示しなかった場合30.8%。開示と非開示で19.1ポイントの差があります。

さらに、就職後に支援制度を利用した人の1年定着率は65.6%で、利用しなかった人より27.9ポイント高いという結果も出ています。「配慮を受けながら働く」という選び方そのものが、続くかどうかを大きく変えているということです。

出典:厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部「就労移行支援について」(移行率の分布。公表時期が古い資料である点に留意してください)/厚生労働省「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について」(平均利用月数15.9ヶ月・p.16)/障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究(調査研究報告書No.137)」(定着率)

年代別の数字が見つからないなら「見つからない」って書いてくれるの、逆に信用できます。それより、事業所によって3割は就職者ゼロって……そっちのほうが怖いですね。

そうなんです。私はそれを知らずに1ヶ所目を決めて失敗しました。

「30代でも大丈夫かな」と検索している時間で、事業所をもう1ヶ所見学したほうが、結果は確実に変わります。心配する対象を間違えないでください。

30代は「社会人経験」と「伸びしろ」が両方残っている

ここからは統計ではなく、私が求人票をたくさん見て、面接を何十回も受けて感じたことを書きます。数字ではないので、そのつもりで読んでください。

採用される力という意味で、30代はかなりおいしいポジションにいると私は思っています。

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世代強みになりやすいところハンデになりやすいところ
20代年齢が若い・伸びしろを見てもらえる社会人経験・実務スキルが浅い
30代実務経験がある+新しいスキルもまだ吸収できる後半になるほど「2年」の重みが増す
40代以降経験が豊富・専門性で勝負できる失敗したときの時間コストが重い

20代は若いけれど、社会人としての土台はこれから。40代は経験豊富だけど、一度つまずいたときに取り返す時間の余裕が少ない(これは私自身が身をもって味わいました)。その点30代は、10年前後の実務経験を持ちながら、新しい職種に切り替える体力も残っている。企業から見れば「基本を教えなくても伝わって、これから育つ余地もある」層です。

あなたが「中途半端な年齢」だと感じているものは、採用する側から見ると「ちょうどいい」だったりします。少なくとも、年齢を理由に自分から降りる必要はありません。

同期は昇進、友人は結婚——「自分だけ取り残された」と感じるあなたへ

データで「遅くない」と言われても、心はそう簡単に晴れない。それも知っています。30代が本当に苦しいのは、年齢そのものより「同世代との比較」のほうですよね。ここは少し、心の話をさせてください。

「みんな前に進んでいるのに」という焦りの正体

30代は、人生のイベントが一気に押し寄せる時期です。同期は役職に就き、後輩がどんどん入ってくる。友人のSNSには、結婚、出産、マイホーム、家族旅行。みんな、人生の階段をのぼっている。

その横で、自分は体調を崩して、働き方そのものを選び直さなきゃいけない場所に立っている。「障害者雇用」「就労移行支援に通う」という選択が、世間のレールから一人だけ外れていくように感じる。おめでとうのスタンプを押した直後に画面を消して、天井を見上げた夜。ありませんか。

私もそうでした。復職したのに職場で孤立して、全力で働きたいのに体が動かない。「あいつ大丈夫か」という視線が背中に突き刺さる。同期がプロジェクトを任されている話を聞くたびに、自分だけが世界から少しずつ切り離されていくような感覚がありました。

比べる相手を間違えると、ずっと苦しい

あの頃の自分に、どうしても言ってやりたいことがあります。「比べる相手を、間違えてるぞ」と。

他人と比べている限り、上には上がいて、永遠に満たされません。まして、いま比べている相手は「健康にフルタイムで働けている同期」で、こちらは「体調を抱えながら立て直そうとしている自分」です。土俵がまったく違う。フルマラソンを走り終えた人と、足を治しながら歩き始めた人を、同じタイムで比べているようなものです。

比べるとしたら、たった一人。「動き出す前の、昨日の自分」だけでいいと私は思っています。この記事を読んで自治体に電話してみた今日のあなたは、昨日のあなたより確実に前に出ています。それで十分です。

30代のゴールは「出世競争に勝つ」ことじゃない

もう一つ、ゴールそのものを置き直しませんか。あなたのゴールは、同期に追いついて出世競争に勝つことですか。たぶん違いますよね。一度、心身を壊すところまでいった人が本当に欲しいのは、「配慮を受けながら、無理なく、長く働き続けられる場所」のはずです。

立ち止まって、働き方を選び直す。これは「負け」でも「後退」でもありません。体力も時間もまだ残っている30代だからこそできる、働き方の設計のやり直しです。私は40代でそれをやりました。できなくはない。ただ正直に言えば、30代でやれるならそのほうがずっと楽です。

でもさ、周りはみんな結婚とか出世してるのに、俺だけこんなんで…やっぱ落ち込むんだよ。

その気持ちは当然です。私も同じでした。

ただ、比べる相手が違うんです。比べるのは、動けなかった昨日の自分だけでいい。今日、相談の電話を一本かけたなら、それでもう昨日の自分には勝っているんですよ。

30代が就労移行支援を利用する4つのメリット

心の整理ができたところで、実利の話に戻ります。30代が就労移行支援を使うメリットは、20代・40代とは少し違います。30代ならではの強みを正しく認識して、武器として使うこと。ここが分かれ目です。主なものを4つに絞って書きます。

① 10年前後の社会人経験が「即戦力」の証明になる

あなたがこれまで働いてきた10年前後。それ自体が、立派な武器です。ビジネスマナー、メールの書き方、報連相、納期の感覚。「できて当たり前」と思っているかもしれませんが、採用する企業からすれば「一から教えなくても伝わる」という大きな安心材料です。

私自身、転職活動で何十社も落ちましたが、最終的に内定をくれた企業の面接官にこう言われました。「これまでのご経験があるので、基本的なところは安心してお任せできます」と。心身を壊して自信をなくしていた私の中で、過去のキャリアが「無駄じゃなかった」と認められた瞬間でした。あなたの10年も、必ず誰かにとっての安心材料になります。

② 「どこで無理をすると倒れるか」を自分で説明できる

一度、無理をして体を壊した経験は、つらいものです。ただ、その経験のおかげで「自分が何を苦手としているか」「どこで無理をすると倒れるか」の手がかりを持っている。まだ壊れたことのない人には持てない材料です。

就労移行支援では、支援員と一緒にこの自己分析の精度を上げていきます。私の場合は「人の動きや物音に反応してしまって集中が切れる」「マルチタスクになると頭が真っ白になる」あたりが自分の地雷でした。ここまで言語化できると、企業に対して「自分にはこういう配慮が必要です」と具体的に伝えられるようになります。

さっきの定着率の話を思い出してください。障害を開示して就職した人と、開示せずに就職した人では、1年後に残っている割合が19.1ポイント違いました。配慮事項を言語化できるかどうかは、入った後に効いてきます。

※念のため書いておくと、これは私の例です。同じ診断名でも、しんどくなるポイントは人それぞれ違います。あなたの地雷は、あなたと支援員で探すことになります。

③ 訓練期間が「働き方をリセットする猶予」になる

「いきなり転職活動するのは怖い」。その感覚、正しいと思います。体調が万全でない状態で、書類選考と面接の連続に飛び込むのは、想像以上に消耗します。私は事業所を諦めてエージェントだけで戦ったので、その消耗を身をもって知っています。

就労移行支援の通所期間は、働き方を立て直すための猶予になります。崩れた生活リズムを整え、PCスキルやコミュニケーションを訓練し直し、体調の波を自分で扱えるようにしてから就活に向かえる。「訓練=遠回り」ではなく「訓練=立て直しの土台づくり」です。

先に書いたとおり、就職した人の平均利用月数は15.9ヶ月。2年をフルに使う前提で怖がらなくていいということでもあります。通所から就職までの流れを月単位で知りたい方は、期間を扱った記事にまとめてあります。

④ 一人で抱えなくていい——伴走者ができる

これは、私が一番欲しかったものです。一般雇用で孤立した経験のある人ほど、「相談できる相手がいる」ことの価値が分かると思います。

自己分析、応募書類の添削、面接の練習、企業とのマッチング。これを一緒に伴走してくれる支援員がいる。私が通っていた事業所でも、企業との面談にスタッフが同行するために出かけていくところを何度も見ました。これは転職エージェントだけの転職活動にはない利点です。

私はエージェントだけで戦った時期、不採用通知を一人で開いては黙って閉じていました。あの夜に、隣で「次いきましょう」と言ってくれる人がいたら、どれだけ違っただろうと思います。

ただし30代にもリスクがある——「2年の使い方」が結果を分ける

ここまでメリットを書いてきましたが、いいことばかり並べるのは不誠実です。私は「大丈夫ですよ」しか言わない記事に、人一倍アレルギーがあります。だから正直に書きます。30代にも、しっかりリスクがあります。最大のものは「時間」と「事業所選びの失敗」です。

利用期間2年は、30代にとって決して長くない

「2年も使ったら30代後半になる」——この焦り、私は否定しません。特に30代後半に差しかかると、20代の頃には無かったカウントダウンの感覚が出てきますよね。「あと何年で40代だ」という、あれです。

だからこそ、2年を漫然と過ごさないでほしい。怖いのは訓練に時間がかかることではなく、事業所選びで失敗して、訓練にすらならない時間を溶かすことです。

私の場合がまさにそれでした。最初の事業所が合わず、退所を決意してから、退所手続き→新しい事業所探し→入所手続きで1〜2ヶ月。その間、就職に向けた訓練はほとんど進みません。利用期間の残り日数を数えて、スマホを持つ手が震えたのを覚えています。

「日数は減るのに、積み重ねはゼロから」という現実

これは見学の時には誰も教えてくれない話です。事業所を変わると、前の事業所で使った利用日数は差し引かれるのに、通所の積み重ねそのものは新しい事業所でまた一からになります。「最低でも3ヶ月は通ってほしい」と言われることもあり、転所のハードルは想像より高い。

私はこの壁にぶつかりました。「前の事業所の利用期間は、うちでは引き継げません」。その一言を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。前の事業所で揉めた経緯を一方的に受け止められて、次の事業所は受け入れに慎重でした。入所したい旨を伝えても、首を縦に振ってもらえなかった。

残り時間と、就職したい時期から逆算して、悩みに悩んだ末、泣く泣く事業所の利用そのものを諦めました。最初の選択を間違えただけで、ここまで追い詰められる。それが「2年」という有限の枠の怖さです。

この失敗の全容——何を言われて、どこで詰んだのか——は、別記事に洗いざらい書いてあります。同じ轍を踏みたくない方は、先にこちらを読んでおくと、見学での目線が変わるはずです。

だからこそ「最初の事業所選び」で差がつく

遠回りして、骨身にしみて分かったことはこれです。30代が時間を無駄にしないために、力を入れる場所は「訓練」より先に「最初の1ヶ所を選ぶところ」。

移行率0%の事業所が約3割強、というさっきの数字を思い出してください。選び方さえ間違えなければ、2年は十分に足ります。次のセクションで、見学の前・中・後に分けて具体的に書きます。

つまり、「2年もあるから大丈夫」って油断するのが一番危ない、ということですね?

そういうことです。2年は、思っているよりあっという間に溶けます。

だから最初の一歩、事業所選びに時間を使ってください。見学に2週間かけるほうが、合わない事業所で3ヶ月過ごすよりずっと安く済みます。

30代が失敗しない事業所の選び方——見学前・見学中・見学後

事業所選びで後悔しないコツは一つだけです。必ず自分の目で確かめること。そして複数を比較すること。1ヶ所だけでは比較の基準がないので、良し悪しの判断ができません。

以下は、私が事業所選びで失敗した経験から導き出した「本当に確認すべきこと」です。

【見学前】ネットで調べる段階で確認すべきこと

見学の予約を入れる前に、ホームページでここを見ておきましょう。ここでふるいにかけておくと、限られた時間を有効に使えます。

  • 自分の障害種別に対応しているか(精神・発達・身体・知的など、事業所によって得意分野が違う)
  • 訓練内容が自分の就職目標に合っているか(IT系か、事務系か、基礎からか)
  • 在宅訓練・オンライン対応の有無(体調に波がある人には重要。通所できない日の選択肢になる)
  • 就職実績と定着率が具体的な数字で公開されているか(曖昧な表現しかないサイトは要注意)
  • 30代以上の通所実績があるか(年齢層の偏りが大きい事業所は、通い続けるのがしんどくなることがある)

ホームページに就職率を具体的な数字で載せていない事業所は、正直おすすめしません。自分たちの実績に自信があるなら、隠す理由がないですから。

【見学中】30代が外せない5つの質問

見学に行ったら、雰囲気だけで判断しないでください。次の5つは、私が「入る前に聞いておけば良かった」と後悔した質問そのものです。相手の反応で、その事業所の本気度が見えてきます。メモを取りながら聞くのがおすすめです。

STEP

「過去1年の就職率と、就職後の定着率を教えてください」
具体的な数字が即答で出てくるか。「多くの方が就職されています」のような曖昧な返答は黄色信号です。移行率0%の事業所が約3割強あるという事実を思い出してください。ここは遠慮せずに聞いていい。

STEP

「個別支援計画はどう立てて、どのくらいの頻度で見直しますか?そして”個別”とは具体的に何が個別なんですか?」
ここは私が一番痛い目を見たところです。「あなたのペースに合わせます」「個別にプログラムを組みます」と説明されたのに、実際に個別のプログラムが組まれることはありませんでした。「個別」の中身を具体例で答えられるかまで踏み込んで聞いてください。

STEP

「就職活動で使える求人はどこの求人ですか?使うのに条件はありますか?」
30代にとっても最重要の質問かもしれません。私が入った事業所は使える求人がハローワークのみで、そのことは入所前に一切説明されませんでした。「求人があるか」ではなく「使うのに通所期間や承認が要るか」まで確認してください。

STEP

「転職エージェントとの併用はできますか?」
これも聞いておいてください。併用そのものを禁止している事業所があります。後で書きますが、30代にとってエージェントの併用は有力な選択肢のひとつ。それがルール上できないなら、入る前に知っておきたい情報です。

STEP

「合わなかった場合、退所の手続きと期間はどうなりますか?」
入る前に「辞め方」を聞くのは失礼じゃないか、と思うかもしれません。でも聞いてください。私が追い詰められた原因の一つが、まさに退所手続きとその間の時間ロスでしたから。

もう一つ。有資格者がいるかどうかだけで安心しないこと。私が通った事業所にも有資格者はいました。でも、いるだけでした。特別なケアがあるわけではなかった。「資格者がいる=手厚い支援」とは限りません。だからQ2やQ5で「実際に何をしてくれるのか」まで踏み込んでください。

「もっと細かく確認したい」「質問を印刷して持っていきたい」という方へ。見学の場でそのまま使える質問テンプレート10選、選び方のチェックポイント7つ、要注意事業所のNGサイン5つを、選び方の完全ガイドにまとめてあります。

【見学後】比較検討で見落としがちなポイント

見学から帰ってきたら、ここからが本番です。

  • 見学は3ヶ所を目安に。1ヶ所だけでは「比べる基準」が持てない
  • 見学メモはその日のうちに残す。帰りの電車で印象は薄れ、次の見学と混ざります
  • 通所のしやすさ(距離・交通費・所要時間)を侮らない。毎日のことなので、続けられるかを直接左右します
  • 体験利用は複数使っていい。遠慮は不要。実際に通うイメージが一番わかります
  • 「ここなら通えそう」という直感も判断材料にする。事業所選びは目的 × 相性。数字だけでも、直感だけでもダメなんです

私の最大の失敗は、見学の印象だけで決めてしまったことです。相談の時はあんなに親切で、こちらの要望にも「もちろん対応します」と言ってくれた。それなのに、入所してから話が変わった。聞いていなかった条件が次々に出てくる。「利用者の生の声」だと思って読んでいた事業所のブログも、実際はスタッフ監修で許可が出ないと載らないものでした。

入る前の優しさは、判断材料になりません。数字と、複数の比較と、自分の直感。この3つで決めてください。

「”大手だから安心”は、あの頃の自分に一番言ってやりたい言葉です」

私はこの5つを聞かずに、目の前の歓迎ムードで決めて失敗しました。あなたはこのリストを持って見学に行ってください。

30代の目的に合う就労移行支援事業所を見つけよう

選び方の軸が固まったら、あとは「自分の目的・体調・働き方のゴール」に合う事業所を探すだけです。在宅訓練に対応しているところ、ITスキルを本格的に学べるところ、基礎からじっくり教えてくれるところ。事業所ごとに特色は大きく違います。

下に、特色がわかりやすい事業所をまとめました。見学も資料請求も無料です。一つに絞らず、まずは並べて比べてみてください。合いそうなところがあれば、見学の予約まで進めばいい。決めるのはあなたです。

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30代の通所中のお金——収入・生活費・年収の現実

ここからは、多くの記事が薄くしか書かない「お金」の話です。30代にとって、ここが一番のハードルだと私は思っています。だから、きれいごとなしで書きます。

通所中の収入問題——「工賃なし」の期間をどう乗り越えるか

まず現実を書きます。就労移行支援は原則として工賃(給料)が出ません。「働きながらお金をもらう」就労継続支援A型・B型とは、ここが決定的に違います。通所中は、基本的に収入がない期間になります。

家賃、奨学金の返済、これから結婚や子育てを考えている人ならその費用。30代でこの現実にビビるのは当然です。私も「貯金がいつまで持つか」を毎月電卓で叩いていました。

ただ、乗り越える方法がないわけではありません。

  • 自治体によってはアルバイトの許可が出る場合がある(私は自治体から許可を得て、アルバイトをしながら通所していました。ただし許可が出る自治体は少ないのが現実です)
  • 障害年金を受給している場合は併用可能
  • 失業保険(雇用保険の基本手当)の受給期間中なら併用可能。30日以上働けない状態なら、受給期間を最長4年まで延長できる制度もあります
  • 自治体の障害福祉課に相談すると生活支援制度を紹介してもらえることがある

私の場合は、運よくアルバイトの許可が出たので、働きながら通所していました。ただ正直に言うとアルバイト+通所はかなりキツいです。通所で体力を使った後にバイト。体調に波がある中での両立なので、シフトの調整は必須でした。お金を優先しすぎて体を壊したら本末転倒なので、ここは無理をしないバランスが大事です。

アルバイトの許可条件や、実際にどのくらい働けるのかは別記事に詳しく書いています。「働きながら通えるのか」を先に知りたい方はこちらもどうぞ。

家族に頼れない人へ——使える国のセーフティネット

ここまで読んで「うちは実家を頼れない」「親には言えない」と思った方へ。ここが一番書きたかったところです。

親との関係が良くない、頼れる家族がいない。その状況で「通所中の無収入」を乗り切るのは、正直かなりきつい。でも、家族の代わりになる制度は国の側に用意されています。年齢は関係ありません。恥でも甘えでもない。使えるものは全部使って生き延びてください。

  • 障害年金|初診日や保険料納付などの要件を満たせば受給できる可能性があります。通所との併用も可能。請求手続きは複雑なので、年金事務所や相談支援専門員に相談を
  • 生活保護|収入や資産が国の基準を下回る場合の最後の砦。生活保護を受けながら就労移行支援に通うことはできます(利用料の負担上限も0円になります)
  • 障害者グループホーム(共同生活援助)|住まいそのものを変える選択肢。家庭環境が体調に影響しているなら、検討する価値があります
  • 住居確保給付金/生活困窮者自立支援制度|家賃相当額の支給や家計相談など。「まだ生活保護ではないが家賃が払えない」段階で使える制度です
  • 自治体の障害福祉課/基幹相談支援センター|どこに何を申請すればいいか分からないときの入り口。ここに行けば、あなたの状況に合う制度につないでもらえます

私自身、ケアマネージャーからグループホームや一時的な生活保護の利用を提案されたことがあります。その時は「そこまでするのか」と思いました。でも今は、あの提案は行き止まりではなく回り道の提示だったと分かります。ネットには載っていない地域の制度を知ったのも、相談してからでした。

ただし、これらの制度は対象・金額・条件が自治体や個人の状況によって大きく変わります。この記事の内容だけで判断せず、必ず自治体の窓口で確認してください。

大事なのは、一人で抱え込まないこと。お金の問題で就労移行支援そのものを諦める前に、まず相談してみてください。お金の不安を減らす具体的な方法は、別記事にもまとめてあります。

障害者雇用の年収——「低い」で終わらせなくていい

「障害者雇用に切り替えたら、年収が下がって生活できないんじゃないか」。この不安、私も抱えていました。

先に、ごまかさずに数字を出します。厚生労働省の調査では、障害者の平均賃金は身体障害で月約23.5万円、精神障害で月約14.9万円。一般雇用と比べて低い水準にあるのは事実です。ここを「そんなことないですよ」と言う記事は信用しないでください。

出典:厚生労働省「令和5年度 障害者雇用実態調査」(令和6年3月27日公表)

ただ、これはあくまで「平均」の話です。私は転職活動でたくさんの求人を見ましたが、精神障害の採用枠でも高めの年収を出している企業はいくつもありました。平均で自分の人生を決める必要はありません。

2023年頃に私がNeuro Diveを体験した際に聞いた話では、利用者の平均年収は約400万円とのことでした。障害者雇用の平均を考えると、かなり高い水準です。AIやデータサイエンスなど先端IT分野のスキルを身につければ、年収の天井は上がります。
ただし、これは私が体験した時点で聞いた数字です。実績は年によって変わるので、必ず最新の数字を直接確認してください。

そして、ここが30代の大きなアドバンテージです。30代には、これからキャリアを積み上げる時間がまだ十分に残っている。最初の年収は「スタート地点」であって、天井ではありません。40代・50代から積み上げ直すより、確実に有利です。

障害者雇用でも400万とかいけるの!?そんなの無理だと思ってた…

スキルと経験次第です。30代のあなたには社会人経験がある。それを正しくアピールできれば、年収交渉の土台になります。

ただし1社のエージェントだけに頼ると、条件交渉の余地が狭まりやすい。私は3社を使って、精神障害の障害者雇用でも希望年収を通すことができました。

もちろん、これは私ひとりの結果です。同じようにいくとは限りません。ただ「最初から諦める理由はない」とは言えます。

「平均年収が低い」という数字をどう読むかは、別記事で詳しく解説しています。

この記事の金額・制度は執筆時点(2026年9月)のものです。障害福祉サービスの負担上限額、障害年金の額、雇用保険の給付日数などは年度ごとに改定されます。申請前に必ず自治体の窓口や公式サイトで最新の情報を確認してください。

「事業所一本」にしない——30代こそ転職エージェント併用という選択肢

ここで、私の遠回りから出てきた一番大事な話をします。就労移行支援だけの「一本道」は、少し心もとない——これが私の実感です。

私は事業所選びで失敗し、利用そのものを諦めるところまで追い込まれました。そこから転職エージェント3社に切り替えて、最終的に複数の内定にたどり着けた。もし最初から両方の手を持っていたら、あの遠回りはずっと短かったはずです。

転職エージェントとは?就労移行支援との違い

2つの役割は、似ているようで違います。整理します。

スクロールできます
就労移行支援転職エージェント
主な役割訓練・自己理解を経て就職を目指す求人紹介・書類添削・面接対策で就職を直接支援
期間原則最大2年の通所期間の制限なし
費用世帯の収入により0円〜(多くの人は0円)求職者は無料
向いている人働き方の土台から立て直したい人体調が安定していて、すぐ就活を進めたい人

どちらが上、という話ではありません。事業所で土台を整えながら、エージェントで求人市場の動きをつかんでおく。この二段構えを持てるかどうかで、選択肢の広さが変わります。

ただし、先に確認してください

併用そのものを禁止している事業所があります。また、系列エージェントの求人が「通所3ヶ月以上の人のみ」「応募にはスタッフの推薦が必要」といった条件つきのこともあります。私はこれを入所前に確認しなかったせいで詰みました。
併用できるかどうかは事業所によります。確認したうえで、どちらを優先するかはあなたが決めていい部分です。

私が「複数社」を使った理由

エージェントを使うなら、2〜3社を並行してというのが私のおすすめです。理由はシンプルで、1社だけだと、そのエージェントが得意な分野・抱えている求人だけに選択肢が限られてしまうからです。

それと、担当者との相性も大きい。エージェントも結局は「人」です。合わない担当者にあたることもあります。その時は、遠慮なく担当変更を申し出ていい。

私が3社を併用したのは、まさにこのためでした。複数の担当者の意見を聞き、求人を見比べたからこそ、希望条件を妥協せずに済んだ。1社だけだったら、たぶん途中で「これくらいで手を打ちましょう」と流されていたと思います。

障害者雇用でもキャリアは諦めなくていい

30代の社会人経験と、障害者雇用専門エージェントの求人力。この2つを掛け合わせると、年収や働き方の交渉の余地が生まれます。「配慮は欲しい。でもキャリアも諦めたくない」——その両取りを望むのは、わがままではありません。

ただ、繰り返しますが私の内定は契約社員です。障害者雇用の正社員求人は本当に少ない。それでも、契約社員から正社員登用を目指すルートはあるし、専門性を身につけて次の転職で上げていく道もある。就職はゴールじゃないんです。「配慮を受けながら働き続けられる場所」を見つけるのがゴールです。

就労移行支援に通ってるのに、エージェントも使っていいの?なんか欲張りすぎじゃね?

欲張りで結構です。事業所もエージェントも、ビジネスとしてやっています。だからあなたも、対等な立場で使っていい。

ただし、さっき書いたとおり併用を禁止している事業所もあります。入所前に必ず確認してください。そのうえでどう組み合わせるかは、あなたが決めることです。

障害者雇用に強い、おすすめ転職エージェント

エージェントに早めに登録しておくと、「いま、どんな求人が動いているのか」が見えるようになります。求人票を眺めるだけでも、自分に必要なスキルや配慮の言語化が進みます。30代の社会人経験を評価してくれるところを選ぶのがポイントです。

下に、障害者雇用に強いエージェントをまとめました。登録は無料です。2〜3社に登録して担当者と話してみて、合うところを見極めてください。

障害者雇用バンク
〉〉詳しくはこちら
障害者雇用バンク

複数の求人を一覧で比較できる使いやすさが特徴。
求人検索→エージェント相談の流れがスムーズで、「まず選択肢を広く見てから決めたい」人に最適。
登録・利用は完全無料。
dodaチャレンジ
〉〉詳しくはこちら
dodaチャレンジ

大手転職サービスdodaが運営。
非公開求人を含む豊富な求人数が強みで、障害者雇用の専任アドバイザーが書類〜面接まで一貫してサポートしてくれる。
大手・安定企業への転職を目指す人に向いている。
atGP転職サービス
〉〉詳しくはこちら
atGP転職サービス

障害者雇用支援の実績が業界トップクラス
障害の種類・特性ごとに専門的なアドバイスが受けられ、配慮のある職場への転職成功率が高い。
就労移行支援からそのまま転職活動に移行したい人にも対応。

3社を実際に使ってみて感じた違いや、担当者との付き合い方は、エージェントの比較記事にまとめています。

30代の就労移行支援に関するよくある質問

最後に、30代の方からよく出る疑問にまとめて答えておきます。

Q. 30代から就労移行支援を使うのは、やっぱり遅いですか?

遅くありません。ただし「30代の就職率は◯%だから大丈夫」という言い方はしません。年齢別の就職データは、厚労省の統計を探しても確認できなかったからです。確認できたのは、障害者の雇用数が22年連続で過去最高(704,610.0人)を更新し、2026年7月に法定雇用率が2.7%へ上がったこと。そして年齢差より事業所差のほうがはるかに大きいことです。結果を分けるのは年齢より、「2年をどう使うか」と「どの事業所を選ぶか」だと私は考えています。

Q. 就労移行支援に通いながら、アルバイトはできますか?

原則として、利用中の就労は認められていません。ただし自治体によっては許可が出る場合があります(私自身、許可を得てアルバイトをしながら通っていました)。ただ、通所+アルバイトは体力的にかなりキツいので、シフトの調整は必須です。まずは自治体の障害福祉課に相談してください。

Q. 30代で長期のブランクがあっても就職できますか?

就労移行支援は、まさにそういう時期のための制度です。生活リズムの立て直し→スキル訓練→就活と段階を踏めます。ブランクの伝え方(体調を整えるための期間としてどう説明するか)も、支援員と一緒に準備できます。私が面接で落ち続けた原因は、ブランクそのものより「今は何ができるか」を具体的に語れていなかったことでした。

Q. 利用期間の2年を過ぎたら、どうなりますか?

原則2年で利用は終了します。市町村審査会の審査を経て最大1年の延長が認められるケースもありますが、厚労省の資料では利用者36,607人のうち2年以下で終えている人が93.5%。延長を使えている人は1割に届きません。しかも延長の判断には自治体差があります。あてにしないほうが安全だというのが私の考えです。

Q. 合わない事業所は、すぐに辞めていいですか?

合わないなら辞めるという判断はあっていいと思います。自分の条件を妥協しなければいけない理由はありません。ただし勢いで辞めるのではなく、次の事業所を見つけてから手続きを進めるのが理想です。退所〜再入所には1〜2ヶ月かかり、その間も利用期間は消費されます。「支援してもらっている立場で文句を言っていいのか」と悩む方もいますが、事業所もビジネスです。あなたは対等にサービスを利用する側だと私は考えています。

Q. 30代後半です。事業所に通わず、エージェントだけで進めるのはアリですか?

アリです。私は結果的にその形になりました。体調が安定していて、生活リズムも崩れていないなら、エージェントだけで進める判断は十分に合理的だと思います。
ただし正直に書くと、エージェントだけの就活は孤独です。不採用通知を一人で受け止め続けることになります。逆に「生活リズムから立て直したい」「配慮事項をまだ言語化できていない」なら、事業所の伴走はかなり効きます。どちらが向いているかは体調と目的次第。両方に相談してから決めても遅くありません。

Q. 障害者手帳がなくても、就労移行支援は利用できますか?

手帳がなくても、医師の診断書・意見書や自立支援医療受給者証があれば利用できるケースがあります。判断は自治体によって異なるので、まずはお住まいの市区町村の障害福祉課に相談してみてください。

まとめ——30代は遅くない。事業所選びで失敗した私から、あなたへ

長い記事を、ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に要点を整理します。

  • 「30代だから遅い」の根拠は、統計には見当たらなかった。代わりに確認できたのは、障害者の雇用数が過去最高を更新し、2026年7月に法定雇用率が2.7%へ上がったこと
  • ただし就職率は41.4%へ低下している。枠は増えても競争は緩んでいない。準備の質で差がつく
  • 年齢差より事業所差。移行率0%の事業所が約3割強ある。心配する対象を間違えない
  • 同期や友人と比べるのをやめる。比べるのは「動き出す前の自分」だけでいい
  • 2年は有限。見学は3ヶ所を目安に、5つの質問を持っていく。特に「使える求人はどこのものか」「エージェントと併用できるか」は、私が聞かなかったせいで詰んだところ
  • お金の不安は事前に潰す。利用料は前年所得で判定される。家族に頼れないなら、障害年金・生活保護・グループホーム・住居確保給付金という国の制度がある
  • 事業所一本にしない。エージェント併用という選択肢を持っておく。ただし併用の可否は事業所によるので、入所前に確認を

最初に書いたことを、もう一度だけ。ここに書いたのは「正解」ではなく、事業所選びに失敗した私ひとりの一例です。私の内定は契約社員でしたし、何十社も落ちました。あなたに同じことが起きるとは限らないし、同じようにいくとも限りません。

へこむことも、悔しくて眠れない夜もありました。振り返れば遠回りもあった。でも、行動し続けたことで何とかなった。これが自分にとっての最善だったと思っています。

そして40代になった今、改めて思います。あなたは、30代でこの選択肢にたどり着けた。私が遠回りした分を、あなたはもっと早く、もっと身軽に進めるはずです。

難しく考えなくて大丈夫です。明日できる一歩は、これくらいシンプルでいい。

STEP

住んでいる自治体の障害福祉課に、電話で相談してみる(利用料の区分と、アルバイトの可否も一緒に聞けます)

STEP

気になる事業所を3ヶ所、見学の予約を入れる(5つの質問をスマホのメモに貼っておく)

STEP

障害者雇用に強い転職エージェントに、2〜3社登録して求人を眺めてみる(併用の可否は事業所に確認してから)

支援を受けるのは、弱さじゃありません。戦略です。

私の遠回りを、あなたはショートカットしてください。あなたの30代は、まだこれからです。

利用期間は2年しかありません。そして、その2年の結果を一番大きく左右するのは、最初に選ぶ1ヶ所です。

だから、見学に行く前にこれだけはやってください。

見学質問テンプレート10選つき

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